西遊記
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第一回 孫悟空生まれるのことその十
「そなたはあと一歩じゃ」
「確かな神になるにはですか」
「わしやそなたの兄達の様にな」
白い龍の顔をした白い見事な服を着た龍王は白い服を着た頼りない感じの顔の若者に対して言っていました。
「なれる、しかしまだじゃ」
「足りませぬか」
「そうじゃ」
こう言うのでした。
「お主はな」
「そうなのですね」
「だからな」
それでというのです。
「修行せよ、お主も四大龍王の家に生まれてな」
「そうしてですか」
「多くの教えを授かり修行もしてきた」
「それなりに強くなっていますか」
「並の天界の者では適わぬ」
そこまでの強さを備えているというのです。
「武芸も仙術もな」
「どちらもですか」
「だからあと少しでじゃ」
「そういった神にもなれますか」
「そうなるからな、何かきっかけがあれば」
それでというのです。
「そう思っておるしな」
「きっかけですか」
「それがあればな」
息子について思うのでした、そうしたお話は自然と天界の主である道の教えを司る神々の上に立ち神界を治める天帝の耳にも入ります。
そしてそのお話を聞いて天帝は仰いました。
「ではその三人はやがてな」
「修行をさせますか」
「何らかの形でな」
神界の神の一柱である太白金星白い髪の毛を持ち白い礼服を着た若く整った顔立ちの神様に答えました。
「そうしよう」
「そうされますか」
「朕もあの者達は見所があると思っておる」
天帝もというのです。
「だからな」
「頃合いを見て」
「そしてな」
そのうえでというのです。
「修行をさせてな」
「そのうえで」
「結構な位のな」
「それに就けますか」
「そうしよう、問題はな」
天帝は金星に仰いました。
「何時何処でな」
「三人に修行をさせるか」
「それが問題であるな」
「まずは機会を待ちますか」
「うむ、修行も時がある」
すべきそれがというのです。
「だからな」
「今はですな」
「待つとしよう」
こう仰るのでした。
「ここはな」
「そうされますか」
「まずはな」
「ではその様に」
「それとじゃ」
天帝はさらに仰いました。
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