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西遊記

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第一回 孫悟空生まれるのことその九

 彼の修行に入りました、その頃天界ではです。
 天蓬元帥の位にある者がです、こう言われていました。
「お主水の気が強過ぎる」
「おいらはですか」
「うむ、だからな」
 それでというのです。
「何かと気を付けよ」
「ううむ、元々水軍を率いる者の一人ですが」
「それ故水での戦は強いが」
 しかしというのです。
「そのだ」
「水の気の強さはですな」
「問題となるからな」
 だからだというのです。
「気を付けよ、あと食いものに女のこともな」
「どちらも好きです」
「そのこともな」
 どうにもというのです。
「お主の問題じゃ」
「だからこそ」
「顔立ちはいいが」
「顔と武芸と術には自信がありまする」
「そのまま精進すればな」
 上司にあたる神将が元帥に言います。
「きっとかなりの神になるであろう」
「ははは、おいらならですな」
「しかし今言った通りの困ったところがある」
 元帥に怒ったお顔で言いました。
「それではだ」
「かなりの神になれませんか」
「その前に何かないとな」
「修行が必要ですか」
「左様、折角それなり以上のものを持っておるのに」
 それでもというのです。
「勿体ないことじゃ」
「では神になりたいのなら」
「励め、そうはいっても酒と食いものにうつつを抜かすであろう」
「どちらも止められませぬ」
「全く以て困った者じゃ」
 上司の神将も思うことでした、天蓬元帥神界の水軍の司令官の一人であるその人に思うのでありました。
 そして同じ頃天帝の傍にいる兵達の中の司令官の間でも同じ様なお話が起こっていました、捲簾大賞という細面で細い目を持つ青と緑の服の神将軍に上司の人が言っていました。
「そなたももう一皮剥けるとな」
「よいですか」
「ただ強いだけではない」 
 それに加えてというのです。
「頭も回る、しかしな」
「その一皮がですか」
「ある、それが剥けるとな」
「それがしはよりよくなりますか」
「今は大将であるが」
 その立場はというのだ。
「かなりの神にもなれる」
「それがしが神にもですか」
「なれるからな」
 だからだというのです。
「成長すればな」
「では修行にですな」
「そうだな、何か機会があり」
 それでというのです。
「そなたがより上の位にまで至ればな」
「天帝にお仕えする者として」
「神人としてな。さすればな」
「ではその時を待ちまして」 
 大将は上官に言いました。
「今は精進します」
「そうするがよい」
 こんなことをお話しました、大将もそんなことを言われました。そして西海ではその海の主である西海龍王が息子の一人である白馬に言っていました。 
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