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西遊記

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第一回 孫悟空生まれるのことその八

「十一年で全ての修行を終えるとは」
「それもどの術も完璧に備えた」
「そうした御仁ですから」
「もう万歳老でもなければな」
「天帝様でもないとですね」
「それか釈尊でもないとな」
 そうでなければというのです。
「抑えられぬ」
「そこまでの力を備えましたね」
「そうなったからな」  
 だからだというのです。
「必ずな」
「大きなことを為しますね」
「そうなる、しかしな」
 仙人はそれでもと言いました。
「あの者は兎角な」
「火の気がですね」
「強過ぎるからな」
「そこが問題ですね」
「まさにそれそのもの」
「火ですね」
「だからな」
 それでというのです。
「そこが問題となりな」
「それで、ですね」
「花果山から出るとな」
「麓で暮らしているそうですが」
「何かと騒ぎを起こす」 
 そうするというのです。
「そうなるわ」
「この山でもです」
「何かとな」
「確かに仙術は見事でしたが」
「騒動を起こしたな」
「それも毎日」
「そうした者だからな」
「これからもですね」
「そうなる」
 絶対にというのです。
「それは避けられぬ」
「山から出ますと」
「うむ」  
 それだけというのです。
「しかもあの者は外に出る者じゃ」
「だからこの山にも来ましたし」
「それでな」
「何かとですね」
「外に出てな」 
 そうしてというのです。
「騒動を起こすぞ」
「そうなりますか」
「どうしてもな」
 そうだというのです。
「あの者はな」
「それは厄介ですな」
「しかしあれで吉相じゃ」 
 仙人はこのこともお話しました。
「結末はよいものじゃ」
「騒ぎを起こしても」
「周りもな」 
 悟空自身だけでなくというのだ。
「結末はじゃ」
「よいものですか」
「だから安心してよい、騒動は数多く起こしてもな」
「その結末はですか」
「どれも悪い様にはならぬしな」
 そうであってというのです。
「だからな」
「それで、ですか」
「安心してよい、ではな」
「我々はですね」
「あの者のことをこの山で見守ろう」
「わかりました」
 仙童はお師匠さんの言葉に頷きました、そうしてです。 
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