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FAIRYTAIL〜星の王子様〜

作者:花神スギ
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13話~ヨゾラの記憶~

13話~ヨゾラの記憶~

 





 幽鬼の支配者と妖精の尻尾の戦いを眺め、傍観者になっているヨゾラとミッテの2人。

 ミッテの提案で少し、話をしようとミッテはヨゾラと会話をする。

「ウチ、気になってたんすよね?ヨゾラっちはルーシィにこだわるのかが?」

「僕がルーシィお嬢様にごだわる理由ですか?単純な話です。お嬢様の親であるジュード様、亡きレイラ様、ハートフィリア家の屋敷のみなさん、そして、ルーシィお嬢様に恩があるため、ハートフィリア家の皆さまが幸せになることが僕の願いです」

 小さい頃からハートフィリア家に世話になっているヨゾラ、恩返しのためハートフィリア家のために何でもやってきた。正直、こだわる理由などはそんなにはない、ただ恩返しのため。

「ふーん、そうっすか?ウチには、他にもあるように見えるけど……ウチには関係ないけど」

「そんなに僕が気になりますか?」

「べっつにー……必死な姿を見てると知りたくなっただけっしょ」

 ミッテという女性はよく分からない。
 何を考えてるかも、なぜ自分のことを聞いてくるのかも、少しの警戒を持って話す。

 同時にヨゾラは思う。
 【お嬢様にこだわる理由?僕は、なぜあの日の事を思いだす?】

 ヨゾラの幼少の頃の記憶がよみがえる。
 ハートフィリア家に来る前の記憶が。














 森の中を走る小さな少年と年齢は20歳くらいの女性。

「もう少しですヨゾラ様。もう少しでヨゾラ様の母上のソラ様のご友人が待つ場所へ……そこにさえたどり着けば」

「アイレン……もういいよ。僕のせいで……僕が自由になりたいって言わなければ」

 ボロボロな姿のヨゾラとアイレンと呼ばれる女性。少年のヨゾラは立ち止まる。

「ヨゾラ様?追っ手が来ています。さぁ……早く」

「もういい!もういいって!僕はもう……」

「ダメです。ここで追っ手に捕まればヨゾラ様は命を落とすこととなりましょう。今は亡き私の主であったソラ様に顔向けできません、ソラ様の忘れ形見である貴方をお助けするのが、私の役目でございます」

「役目……役目って!ただ!それだけじゃないか!?僕は誰にも必要なんかされていない!」

 ヨゾラの言葉を聞き、アイレンはヨゾラの目線に合わせてしゃがみこみ。

「ヨゾラ様?いいですか?私は貴方に生きていてほしい……ソラ様の最後の願いでもあります」

「でも、僕のせいでお母様を慕っていて僕を助けてくれた人達はみんな……僕のせいで……死んだ。アイレンだって、体はボロボロで……」

「私はヨゾラ様……貴方が好きでやっているのです。他の方々も同じ、皆、口を揃えて言うでしょう、貴方をお助けできて悔いはないと……」

 アイレンは、ヨゾラの頬を撫でる。
 優しく、安心させるように。

「ヨゾラ様が自由に生きたいと言われた時、私は嬉しかった。わがままも言わずただ、毎日我慢する日々、そんな姿を見ていて私はとても辛かった……しかし、貴方は本音で、ソラ様にお仕えしていた我らに助けを求めてくださいました、私は本当に嬉しかったのです」

「……アイレン」

「生きましょう、生きて、生きて、自由にヨゾラ様の人生を、誰かに敷かれたレールから飛び出して生きて生きましょう」

「…………うん!」

 再び、アイレンとヨゾラは目的地に向かって、走りだそうとした時。

「居たぞー!あそこだー!」

 ヨゾラ達を、追う、追っ手が迫り来る。

「ヨゾラ様、この先は真っ直ぐ走ってください。この先で、ソラ様のご友人である、レイラ・ハートフィリアが待っているはずです」

「アイレンも一緒に!」

「私はここで、追っ手の相手をします。大丈夫、必ず追いかけます」

「約束!必ず来てよ……アイレン!」

「えぇ、もちろん……早く!走って振り向いては行けません!ただ前だけを見て真っ直ぐに!」

 ヨゾラは走りだす。
 必ず追うと約束したアイレンを信じて。



 ヨゾラが走るのを確認したアイレンは、追っ手に対峙する。

「ヨゾラ様!もし……私が貴方の元に戻らなかったら…………私の妹を頼みます!名はアイシャ!きっと貴方の助けになるはずです!」

 アイレンの叫びにヨゾラは1度立ち止まりアイレンを見る。

「アイレン?」

 アイレンは笑顔を見せて

「さよなら、ヨゾラ様。……早く走って!!」

 アイレンの声に再びヨゾラは走りだす。



「ここから先は行かせない……私の役目を果たす」

 光の魔法でできた、剣と盾を握りしめ、迫り来る追っ手に向かって走りだす。

「どうか……ヨゾラ様……貴方は幸せになってください……貴方を必要としてくれる人は必ず現れる」




 走り出した、ヨゾラはアイレンに振り返るなと言われていたが不意に後ろを振り返ってしまう。

 ヨゾラの目に入った光景は。

「手を煩わせてくれるじゃないか?この仕事が終われば滅竜のラクリマを貰えるのでね」

「……お前は…………!?」

「王妃様からの任務なんでね」

 全身を隠すマントに顔をフードで隠した男。
 その、男の手はアイレンの腹を貫いていた。

「……ゴッドバイバイ」

 アイレンは、力尽き倒れる。
 最後に

「逃げて!!!」

 アイレンの最後を見た、ヨゾラはアイレンの死を無駄にしないように前を見て走りだすのだった。




 それから、ヨゾラは1人なんとか追っ手から逃げ出すことに成功し森の中を歩いている。

「…………………………」

 溢れでる涙。
 追っ手にバレないように、必死に嗚咽を抑えて、ただ、歩く。


「貴方がヨゾラ様ですね?遅くなり申し訳ありません、レイラ・ハートフィリアでございます」









 あの日の出来事がヨゾラを変える。













「ヨゾラっち?ヨゾラっちー?」

「ん?どうかしましたか?」

「どうかしたのはそっち。急に黙って……考え事ですかー?ウチを無視して」

「申し訳ありません。ふと、昔の事を……」

「悩みならウチがききますよー?」

「結構です」

 ミッテとの会話を無理やり終わらせて、再び幽鬼の支配者と妖精の尻尾の戦いを眺めるヨゾラ。

 しかし、ミッテはまだ話しかけてくる。
 めんどくさがりの彼女には珍しい。

「ヨゾラっち。話し相手になってくれたお礼にヨゾラっちの欲しがっていた情報を教えてあげる」

「情報?」

 ミッテは、ヨゾラに耳打ちする。

「ルーシィを妖精の尻尾に引き込んだのは、ナツ・ドラグニル。あそこに居る奴っすよ?」

「なぜ、それを?」

「ウチは、幽鬼の支配者では、情報を集める係なんすよねー、それなりに情報通なんっすよー」

 ミッテは、笑いながらヨゾラから離れる。

「……ミッテさん、情報感謝します」

「じゃ、ヨゾラっち。ウチはこれで」

「どちらに?」

「妖精の尻尾との戦いはめんどくさいから、逃げるっす……じゃ!」

 ミッテはそれだけを言うとヨゾラに手を振りながら去っていく。

 ミッテと別れた、ヨゾラは

「今はやるべき事をやらければ…………ナツ・ドラグニル」


 ヨゾラの視線はナツ・ドラグニルを真っ直ぐと見るのだった。

















 

 去っていった、ミッテは肩に黒い蝶を乗せながら誰かと話しをしている。


「こんな感じでいいっすか?めんどくさいんすけど?」

 黒い蝶から、男の声が聞こえてくる。

「ブラボー!ブラボー!ミッテちゃん、ナイス!さらなる火種を蒔いてくれてありがとう!これから先、さらに抗争は激しくなるねぇ?星ちゃんは、お嬢様絡みにすれば動くでしょ?まずは、星ちゃんの居場所をなくさないとね?」

「趣味が悪いっすねー、ウチも頑張ることになっちったすから、やりますけどー?」

「じゃあ、次のお仕事ね」

 男は何かをミッテに伝えるのだった。








 様々な暗躍が蠢くの。







 

 


 


  
 

 
後書き

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