12話~妖精の反撃~
ルーシィを巡っての戦いが終わり、少しした後、幽鬼のギルドでは、いつもの騒がしさがあった、幽鬼の支配者での話しは、ガジル達が妖精の尻尾を襲撃したといはう話で盛り上がっていた。
そんな、モブメンバー達を見ながらギルドの2階ではガジルとヨゾラがテーブルを囲み椅子に座っていた。
「ロフォロンさんは一緒ではないのですか?」
ヨゾラが見る限り、いつも一緒に居る雰囲気であったがロフォロンの姿はない。
「あ?別にいつも一緒に居るわけじゃねぇよ?ロフォロンはジュビアとソルと3人でマスターに呼び出されてたぜ?3人揃っての任務だろ」
「そうですか」
暇をもて余した、2人の元に1人の男が現れる。
「悲しい!!幽鬼の支配者の手により、妖精の尻尾は傷つき滅んでゆく…………なんて、悲しいことだ…………暇潰しの相手が居なくなってしまう……悲しい!!」
大柄の男で滝のように涙を流している。
男の名前はアリア。
エレメント4のリーダーであり、大空のアリアと呼ばれている。
「鬱陶しい奴が来たぜ……アリア!てめぇはまた、泣いてるのか!?」
「ガジル、私はお前のギルドへの愛を此度の襲撃で確認できた……私は嬉しい……悲しい!!」
「嬉しいのか!悲しいのか!どっちだよ!?」
アリアは、不思議な男である。
そんな、アリアはある事を伝えに来た。
「妖精の尻尾がこちらに向かっている、準備をしろとマスタージョゼからの命令だ…………ついに、悲しき決着……悲しい!」
アリアによれば、妖精の尻尾のマスターマカロフが主力メンバーを連れて、幽鬼の支配者のギルドに近づいて来ているとの情報であった。
それと、もう1つ。
「ルーシィ・ハートフィリアの捕獲が完了したそうだ……ロフォロン、ジュビア、ソルが上手くやったようだ…………皆の活躍に私は涙が溢れる!悲しい!」
アリアの言葉に興味無さげにしていた、ヨゾラが反応した。
「お嬢様を捕獲した?何を勝手な事を、お嬢様をお迎えに行くのは僕の役目のはずだ?幽鬼の支配者の仕事はお嬢様の周りを飛び回るハエの始末でしょう?」
ヨゾラは、アリアをにらみつけながら続ける。
「マスタージョゼのご命令で、依頼人の方の部下の方に手を煩わせてしまったら、幽鬼の支配者の恥だと……今回は勝手な行動を申し訳ありません……ですが、心配はいりません、ルーシィ・ハートフィリア様は無傷で怪我などはしておりません…………まったく、依頼人の気持ちを察しターゲットを無傷で捕獲する、さすがは幽鬼の支配者!感極まり……悲しい!!」
アリアにはツッコミはいれない、全ての感情が結局は悲しいで終わるから。
「…………それならばいいでしょう」
「おっと、ニコニコ野郎?今から楽しくなるんだぜ?どこに行くんだよ?」
「お嬢様の元へ……すぐにハートフィリア家の屋敷に……」
お嬢様をお迎えに行く役目は自分だったのにと、不機嫌になりながらもヨゾラはルーシィの元へと行こうとした。
「ギヒッ!……それは、まだ早いみたいだぜ?」
「……タイミングが悪いですね」
その瞬間、幽鬼の支配者のギルドの扉が凄い音と共に壊される。
「妖精の尻尾じゃぁ!!!ジョゼはどこに居るー!!?」
妖精の尻尾のマスターマカロフと主力メンバー達の到着である。
しかし、これもマスタージョゼの計算の内。
卑劣な罠が妖精の尻尾のマスターマカロフを待っているとは知らずに。
「悲しい!私は作戦のため1度消える」
アリアはそう言い残して、風と共に消える。
「ギヒッ!来たぜ!妖精のケツ共がよ!」
ガジルは、2階から妖精の尻尾のメンバー達を見ている。
妖精の尻尾の者達は幽鬼のモブメンバー達と戦っている。モブメンバーでは、さすがに相手にはならない。
1人の桜髪の魔導師が吠える。
「ガジル!!ロフォロン!!ヨゾラ!!出て来い!!ぶっ飛ばしてやる!!!」
怒りで炎は燃え上がり、標的の3人の名前を大声で叫ぶ、全てはレヴィ、ジェット、ドロイ……ギルドの仇をとるために。
「ギヒッ!ニコニコ野郎!俺とお前、ご指名されてるぜ?行くか?」
ガジルは、嬉しそうに暇潰しをするためにヨゾラに声をかけるが。
「僕は妖精の尻尾と幽鬼の支配者の抗争に興味はありません……お好きにどうぞ」
「チッ!つれねぇな!俺は行くぜ!」
ガジルは、1人妖精の尻尾達の前に現れるのだった。
「俺様を呼んだか?悪いがロフォロンは居ねぇ、ニコニコ野郎……ヨゾラもお前らに興味ねぇってよ!!」
「お前がガジルか!!!」
ガジルとナツとの戦いが始まる。
ヨゾラはふと思う。
余計なことは言わなくていいのに仕方ない。
「仕方ない……ガジルさんの勇姿を見ていましょう」
ヨゾラは2階から下の階を覗き込む。
マスターマカロフと妖精の尻尾の主力メンバーを見る。
「あれが……妖精の尻尾のマスター……凄い迫力ですね……ビーストアームのエルフマン、氷の造形魔法の使い手のグレイ…………あっ!あれはエルザさんですかこの前はお世話になりましたが、さすがは妖精女王、幽鬼のメンバー達が吹き飛んでいますね」
ヨゾラも妖精の尻尾についてはいろいろと調べている。ほとんどルーシィお嬢様が独り言のようにヨゾラに熱心に話していた事だが。
「それに、あの方は……ナツ・ドラグニル」
ルーシィを初めて迎えに行った時に出会った魔導師、どうやら相方は居ないらしい。
「っ!ヨゾラ!!」
ナツと目が合ってしまった。
ならば、仕方ない。
「お久しぶりです。ナツ・ドラグニル」
2階からナツに手を振り挨拶をするヨゾラ、すぐにナツがこちらに向かってくるが
「お前の相手は俺だろ!?」
ガジルがナツを殴り飛ばす。
すぐにナツも反撃してガジルを殴り飛ばす。
「ガジルさん、頑張っていらっしゃる」
ふと、エルザとヨゾラは目線が合う。
一瞬、エルザは驚いた表情をしたが、すぐにヨゾラをにらみつける。
「怒っていますね」
ヨゾラはすぐに、エルザから視線を外すのだった。
恩人であるがため、少し気まずい。
ヨゾラはしばらく、2階から幽鬼の支配者と妖精の尻尾の戦いを眺めている。
ちなみに、マスターマカロフは、エルザ達に下を任せギルドの最上階へと向かっている。
そんな時にヨゾラに話をかけてくる人物。
「こりゃめんどくさい事になっちったすね?ヨゾラっちは、参加しないんすか?」
この前、出会った幽鬼の支配者の魔導師のミッテであった。
「貴女は……ミッテさんでしたか?」
「そうっすよー……ガジル、大暴れ……片付けがめんどくさそうっすね」
ミッテもヨゾラ同様に、ヨゾラの隣で下の乱闘を見ている。
「ミッテさんは参加しないのですか?」
「ウチ?……ウチはパス。めんどくさいし……ガジルだけで充分」
ミッテはとんでもない程のめんどくさがり。
ギルドの仲間達が乱闘していようが、自分に被害が来るまでは動かない。
「ガジルさん、少し押されてますよ?」
「まぁー、見なかったことに」
「変わっていますね?」
幽鬼の支配者は変わり者ばかりだと、ヨゾラは内心に思う。しかし、それを口にすれば幽鬼の支配者のメンバー達に「お前も変わり者だろ!」言われるのが簡単に予想がつく。
「ヨゾラっち、暇なら少しウチと話しをしないっすか?」
「構いませんが」
ヨゾラと謎の少女ミッテ。
星の導きのままに。