金木犀の許嫁
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第六十三話 結婚すべきでない人その二
「行方不明になったのが五十位の時らしいけれど」
「その五十年の間威張るだけで」
「誰かの為に何かすることなんて」
それはというのだ。
「一度もね」
「なかった人ね」
「そうだったのよ」
「それで今生きていても」
「わかるわよね」
「誰かの為に何もしないで」
「お金も出さなかったそうだし」
それもなかったというのだ。
「ケチでもあってね」
「誰かがどうなっても助けなくて」
そうであってというのだ。
「自分は奥さんに食べさせてもらったりお金たかってね」
「生きてきたのね」
「煙草吸ってもやたらいい煙草で」
「高い煙草ね」
「それで着ている服もよかったそうだけれど」
それでもというのだ。
「そうして生きて人の為にはね」
「何もしてこなかったのね」
「それで五十年生きてきたっていうのよ」
「その間反省もしなくて」
「成長もしなくてね」
「そんな人が家族でもね」
「いいことないわね」
夜空は心から思って言った。
「本当に」
「そうよね」
「ええ、全くね」
それこそというのだ。
「私もそう思うわ」
「こんな人とは最初から結婚しなくて」
「結婚してもなのね」
「そんな人だとわかったら」
「離婚ね」
「離婚もね」
真昼もそれはと話した。
「一つの手のやり方よ」
「どうしようもない人とは別れることね」
「ええ、そのうち借金も暴力もありかねないし」
「その人もそうだったし」
「自分の叔父さんにちょっと言われて怒って」
そうしてというのだ。
「掴みかかってお金亡くなって闇金に手を出す様な人だから」
「そうしたことも有り得るわね、何でもね」
「何でも?」
「結婚していた頃はまだましだったのが」
それがというのだ。
「どんどんね」
「悪くなっていったの」
「そうみたいよ」
「あれね、人の底を抜いて」
それはどうしてかとだ、夜空は彼女の中で考えて話した。
「さらに駄目になったのね」
「そうみたいね、まあ結婚していた頃からそうした人だったことは確かで」
ましであってもというのだ。
「そこからどんどんね」
「悪くなったのね」
「そうみたいよ」
これがというのだ、真昼は妹に対してどうにもという顔になってそのうえで話をしていくのだった。
「さらにね」
「結婚していてまだ歯止めがあったのかしら」
「そうかもね、その頃からどうにもならなくても」
そういった輩でもというのだ。
「そこからね」
「さらにだったのね」
「悪くなって」
それでというのだ。
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