金木犀の許嫁
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第六十二話 お見合い前にその十
「殴ってやろうかって言ったり掴みかかったりもしたそうよ」
「暴力もですか」
「だからこんな人とはね」
「結婚したら駄目ですね」
「駄目過ぎて」
それでというのだ。
「人としてね」
「最悪ですね」
「挙句親戚の家でお部屋に勝手に入ってね」
そうしてというのだ。
「本を漁ってたっていうから」
「勝手にですか」
「そうしていたから」
「あんまりですね」
「家族でもね」
「人のお部屋にはです」
「勝手に入らないでしょ」
「こっそりとはあるかも知れませんが」
それでもというのだ。
「いいことではないです」
「それをね」
「家族でもないのにですね」
「勝手に入ってね」
人の部屋にというのだ。
「それで勝手にね」
「本を漁ってたんですか」
「読める本をね、それも丁寧に扱うんじゃなくて」
本をというのだ。
「一冊一冊ぽいぽいってね」
「投げる感じですね」
「そんな風に扱ってたそうよ」
「人の本を勝手にですね」
「それで親戚の人も怒って」
それでというのだ。
「勝手に入って漁るなってね」
「言ったんですね」
「そうだったのよ」
これがというのだ。
「図々しいでしょ」
「はい」
白華もその通りだと答えた。
「厚かましいといいますか」
「それでも程があるわね」
「酷過ぎます」
「そんなことばかりの人だったのよ」
「誰も家族でいられないですね」
白華はそれならと述べた。
「本当に」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「その人はね」
「奥さんに逃げられたんですね」
「最後は誰からも匙投げられたのよ」
「ずっとそうで」
「こんな人とはね」
「絶対に結婚しないことですね」
「そしてならない」
こうもだ、真昼は言った。
「反面教師にしてね」
「そうしないと駄目ですね」
「この人は男の人だけれど」
「私達女の子もですね」
「性別は違ってもね」
それでもというのだ。
「こんな思いやりがなくて感謝しなくて」
「何もかもが駄目な」
「そんな人にはならないことよ」
絶対にというのだ。
「本当に反面教師よ」
「ああはなるまいと思って見て」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
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