金木犀の許嫁
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第六十二話 お見合い前にその八
「そんな人じゃないですね」
「ええ、流石にあんな人はそうはいないから」
「多かったら大変ですね」
「世の中ね。何でももともとご家族問題のある人が多くて」
そうであってというのだ。
「その人達が甘やかして」
「そうなったのですか」
「だからね」
そうであるからだというのだ。
「流石にそこまで酷くことは稀よ」
「私達もそうはならないですね」
「ええ、だからね」
それでというのだ。
「安心してね。普通に努力していたら」
「そこまで酷くはならないですか」
「そうはね。駄目人間も駄目人間で」
それこそという口調でだ、真昼は話した。
「人間の底を抜いた餓鬼だから」
「確かに人ですらないですね」
白華も否定しなかった。
「誰が何をしてもよくならないですから」
「そんな人になるには」
それこそというのだ。
「本当に何もしないでふんぞり返っているだけ」
「それだけですね」
「お仕事も家事も身内のこともしない」
「本当に何もしないですね」
「学校のお勉強も部活もしなかったらしいし」
そうであってというのだ。
「ただ本読んでその本を偉そうに批評する」
「本は学ぶもので批評するものではないですね」
「批評というか文句を言うだけだったみたいよ」
「ああ、本にあれこれ言える自分偉いね」
夜空はすぐに理解して応えた。
「要するに」
「そう、そうした感じでね」
白華も否定しなかった。
「言うだけだったみたいよ」
「そういうことね」
「兎に角ね」
その輩はというのだ。
「何をしてもね」
「よくならない人だったのね」
「もうね」
それこそというのだ。
「最初から偉いって思っていて」
「自分が」
「そう思う為にね」
「偉そうに言うだけだったのね」
「駄目出しばかりしてね」
「駄目出ししてると」
夜空はそれならと述べた。
「偉いって思えるわね」
「自分がね」
「間違いをわかって指摘出来るね」
そうしたというのだ。
「自分偉いって」
「そう思えるからね」
「その人も駄目出しばかりしてたのね」
「けれどね」
それでもというのだ。
「その人はそれだけでね」
「何の努力もしないで」
「肝心の中身はね」
人としてのそれはというと。
「全く成長していなくて」
「子供のまま?」
「そう、幼稚でね」
そうであってというのだ。
「自分が偉いって勘違いしたままでね」
「歳だけ重ねたのね」
「それで偉いって思いたいだけで」
ただそれだけでというのだ。
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