金木犀の許嫁
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第六十二話 お見合い前にその七
「まだ許せたみたいだけれど」
「普通それで離婚よね」
「それだけじゃなくてね」
「そんな人だったから」
「奥さんも逃げたのよ、しかもね」
真昼はさらに話した。
「ずっと食べさせてくれて助けてくれてお世話もしてくれたのに」
「感謝しなくて」
「そう、それでね」
そうであってというのだ。
「家出て爪切りまで持って行ったって言ったのよ」
「爪切りまでっていうのがね」
夜空はその言葉に呆れて言った。
「酷いわね」
「そうよね」
「その人の器の小ささがまずね」
「わかるでしょ」
「爪切りみたいなものまで言うね」
そうしたというのだ。
「器の小ささを感じて」
「さらにあるわね」
「爪切りまでお世話になってるのにね」
「感謝しないでね」
「そこまでの甲斐性なしで」
「それ位出すお金があっても出さないケチさとね」
「それを人前で言う無神経さね」
そこまでだというのだ。
「かなりね」
「酷いわね」
「そんな風だったのね」
「その人はね。だから天理教のお世話になっても」
「かえって悪口言うだけだったのね」
真昼はこう返した。
「天理教の仕組みがどうとか」
「そうよ」
「何をどうしてもよくならない人だったのね」
「だから奥さんも逃げて」
離婚してというのだ。
「誰からも匙投げられて」
「天理教の教会にもいられなくなって」
「今は行方不明よ」
「そうなってるのね」
「親戚の人の家に上がり込んで大飯をただで平気で食べて」
「しかもコーヒー淹れてくれよね」
「疲れていても言ったし」
夜空に話した。
「お家の人がね」
「無神経で思いやりもなくて」
「本当にただ尊大で図々しくてしかも働かないで感謝もしない」
「いいところないわね」
「いいこと言う人いないみたいよ」
こう話した。
「実際ね」
「そんな人ね」
「そんな人と結婚してもね」
「絶対に上手くいかないわね」
「物凄く低い人間の底を抜いたレベルまで堕ちていて」
そうであってというのだ。
「そこからずっとよくならない人はね」
「どうしようもないわね」
「何の努力もしない人もいるのよ」
そうだというのだ。
「それでいてふんぞり返るね」
「そんな人もいて」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「私達はそんな人にならない様にして」
「そんな人とは結婚しない」
「そう、少なくとも幸雄さんはそんな人じゃないし」
「佐京君もね」
「豊さんもですね」
白華も言ってきた。
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