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蒼と紅の雷霆

作者:setuna
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X編:トークルームⅢ

 
前書き
青写真ってシアンの想いが込められている歌なんだろうけど、ノーマルエンドルートだとGVに聴かせられないんだよなぁ。

この作品の本編ルートだとシアン生き残ってるけどオウカと出会って良い雰囲気になったからシアンの想いそのままの歌は聴かせられなくなっている。

マジでごめんよシアン。 

 
《昔のソウ》


「ねえ、お兄さん。私くらいの時のお兄さんってどんなだったの?」

「…何故そんなことを聞く?」

コハクくらいの歳…と言うことは14歳の時のことを聞いているのだろう。

…コハク本人はとても14歳には見えないが。

「だって昔のお兄さんって結構気になるんだもん。昔も物凄く強かったのかなーって」

『そりゃあもう、昔のソウは凶悪だったよ。昔のスメラギの連中もあっさりやられてたし…僕だって何度スクラップに…ぎゃんっ!?』

余計なことを言うロロを雷撃で軽く沈めると、ソウは少しの沈黙の後に口を開いた。

「昔の俺は…一言で言うならガキだな」

「え?」

「………」

予想外の言葉にコハクの目が見開かれ、アキュラもまた意外そうに聞いていた。

「力があったつもりでも肝心な時に何も出来ない。守れなかった…ただの非力なガキだった」

「ソウ…」

『お父さん…』

(ソウはパンテーラとの心の繋がりを感じた)


《ソウの剣術》


「GSの兄貴の剣術って凄えよな。バチバチのセプティマを使ってない時だってスメラギのでっけえメカをバチバチの剣でバッタバッタ叩き斬っちまうんだもんな」

「そうそう、まるでお姉ちゃんみたい!お姉ちゃんもスメラギのメカとか色々と斬ってたんだよ」

「お前の姉と言うことはマイナーズか…マイナーズの女が良くそれだけの剣術を習得出来たな…」

ほとんどが非力な存在が大半であるマイナーズであることを考えればコハクの姉はかなりの規格外の存在だったようだ。

「まあ、世の中たまには存在しますからね。色々と規格外な存在が」

『そうだよね、アキュラ君も稀代の天才だし、ソウなんて悪魔って呼ばれるようなセプティマホルダーだし…パンテーラも恐ろしく強い…あれ?もしかして規格外って結構身近にいる?』

「規格外か…俺としては今まで機械を勘で修理していたにも関わらず、大変なことになっていないコハクの方が凄いと思うがな…」

前にこの基地の機械をアキュラがチェックする際にコハクは勘で修理していたので、どれも些細な誤作動を起こす程度で済んでいるのが奇跡だと呟いていた。

「えへへー、それほどでもないよー。アキュラ君」

「コハク…それ褒めてないです…」

照れるコハクにマリアからのツッコミが入った。

(ソウとアキュラの心に温かなものが満ちた)


《体術と剣術の師匠》


「そう言えば、ガンセイヴァーさんの武術はチャタンヤラクーシャンクを取り入れた物なんですか?」

「ちゃらんしゃたくー?」

「チャタンヤラクーシャンク…空手の型の1つだ。その数ある中でも最高難度を誇る型だ。」

コハクが疑問符を浮かべてそうな顔をしていたのでアキュラが軽く説明する。

「チャタンヤラクーシャンクをベースにしたオリジナルのマーシャルアーツ…らしい…まあ、俺はバリツを実在の格闘技と思っているような奴のことだから信じてはいなかったが。」

「バリツだと?あれは実在しない架空の物だぞ」

「ねえ、アキュラ君。バリツって何?」

『あ、あー…今の子はバリツなんて分かんないか…これがジェネレーションギャップか』

「そうですね…私達の時はありふれていたことが今では古いことなんですから…はあ…」

パンテーラはかつてのことを思い出しながら深い溜め息を吐いた。

「それじゃあ剣術は誰から学んだんですか?」

ジンの問いは単純な疑問であるため、悪気はない。

少しの沈黙の後に答えた。

「テーラの兄だ。剣術の基本を習い、その後はほとんど自己流だ。」

銃剣自体は昔から使っていたが、まともな型すら出来ていなかったのでパンテーラの兄に教わった剣術をベースにしている。

「はい、私のお兄様が教えた基本をベースに今の剣術を作り上げたのですよ」

「テーラちゃんのお兄さん?仲良かったの?」

「どうだろうな…不仲だったとは思いたくはない…な…」

コハクの問いに自分とパンテーラの兄との関係は仲間くらいだったのかもしれないが、不仲ではないと思いたい。

「大丈夫ですよ、ソウ。お兄様はソウのことを認めていましたから」

「そうか…だと良いんだが…」

(ソウはパンテーラとの心の繋がりを感じた)


《ソウとアキュラの違い》


「そう言えば、お兄さんとアキュラ君ってどっちも凄い動いてるのに何か違うね」

「「?」」

いきなりコハクにそう言われた2人は疑問符を浮かべる。

「だってアキュラ君は空中で凄く動いてぶつかってから攻撃してるのに、お兄さんはすれ違うみたいにズバズバドンドン倒しちゃうんだもん」

『あーそれはね、コハクちゃん』

「ソウとアキュラではクードスの効率の良い稼ぎ方が違うのです。ソウは敵を短い間隔で撃破し続けるか複数ロックオンでの撃破。アキュラはブリッツダッシュで空中移動しながらのEXウェポンでの連続撃破が最も効率が良いのです。機動力はアキュラ、一撃の破壊力はソウに軍配が上がります。アキュラの疑似セプティマのEXウェポンとソウの紅き雷霆による様々の技はどちらも強力ですから…どちらかが優れているとは言えませんね……個人的にはソウが1番だと思いますが」

『僕の解説を取らないでよ!しかも然り気無くソウを推しちゃって!』

「昔は毎回挑んでスクラップにされていたポンコツアイドルは黙っていてくれませんか?」

『…パンテーラ…喧嘩売ってる?』

「ふふふ…そうですよ?」

絶対零度の声で尋ねるロロに対して嘲笑を浮かべながら肯定するパンテーラに2人の口喧嘩が勃発した。

「あ、あれ…私のせい…?」

「気にするな、何時ものことだ」

『ほら、コハク。こっちにいらっしゃい。』

モルフォに促されたコハクは向こうへ行くのであった。

「…いい加減にしろロロ」

『だってー!』

「ふふふ…」

(ソウとアキュラの心に温かなものが満ちた)


《本当の名前》


「GSの兄貴ってソウって名前なんだろ?ガンセイヴァーとか色々名前持ってんだな」

「ソウの名も元々はコードネーム…スメラギの雷撃能力者を生体ユニットにした兵器開発のプロジェクトから取った物だ。今ではコードネームの方に慣れている」

「へえ…お兄さんの本名って聞いちゃ駄目なの?」

「スメラギから与えられた名はとっくの昔に捨てた。もう覚えていない」

それだけ言うと、ソウはこの場を後にした。

「アキュラ君も知らないの?」

「奴がスメラギの実験体なのは知っているが、雷撃のセプティマホルダーであることと、強すぎるセプティマ故に廃棄予定であったことくらいしか知らん…今となっては奴の詳細なデータはスメラギにも存在しないだろう。奴がスメラギの研究施設にいたのは遥か昔のことだからな」

「あまり詮索しないで下さい。スメラギにいた頃のことはソウにとって辛いことなのですから」

(ソウはパンテーラとの心の繋がりを感じた)


《青写真》


『~♪︎』

拠点内に響き渡るモルフォの歌。

それは今までのようなテンションを上げるような歌とは毛色の違うゆっくりとした歌。

大切な誰かへの大きな想いが込められた、かつてのスメラギから押し付けられた歌詞とは違う彼女のオリジナルのセプティマホルダーが万感の想いを込めた歌詞。

ソウの妹が大切な人に贈るために必死に考えていた歌詞をパンテーラが覚えていたので能力で再現されたモルフォは歌えるのである。

この歌に関してロロは対抗心を燃やすことなく静かに聴き、同時に歌姫としての直感なのか、それとも電子の謡精の能力なのか。

この歌はその誰かへと届けられなかった歌なのだと気付き、微かに震えていた。

アキュラは昔ならセプティマホルダーの物だと言うことで耳障りに感じたであろう歌を聴きながら、隣のロロの変化に気付きながらも気付かないフリをした。

「(色の付いた世界…か…)」

静かに歌を聴いているコハクを見つめながらほとんどの物が色褪せてしまったはずの自分の目に映る鮮やかで温かな光を放つコハク。

そしてコハク程ではないにしろ優しい色を放っているマリア達。

守りたいと思える。

あの時、守れなかった場所のようなこの温かな空間を。

(アキュラの心に温かなものが満ちた) 
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