金木犀の許嫁
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第六十一話 相手が来てその十
「いい人だから」
「そうみたいね」
「前にお話した通りにね」
「それじゃあね」
「それとね」
佐京はさらに話した。
「お祖母さんのお家は農家なんだ」
「そうなの」
「そちらでね」
それでというのだ。
「畑仕事していて元気だよ」
「それが運動になるから」
「そう、代々ね」
佐京はさらに話した。
「そこで農家をしてね」
「暮らしているのね」
「そうなんだ」
「忍者をしながら」
「そうだよ、ずっとね」
まさにというのだ。
「忍者としてね」
「暮らしていて」
「今も修行はね」
忍者のそれはというのだ。
「しているよ」
「そうなんだ」
「そう、そしてね」
それでというのだ。
「かなりね」
「忍者として凄いのね」
「そうなんだ」
その祖母はというのだ。
「実はね」
「そうした人ね」
「それでいい人だから」
それでというのだ。
「凄くね」
「お会いしても安心出来るのね」
「そうなんだ」
こう話した。
「大丈夫だよ」
「それは何よりね」
「確かに武家の家だったけれど」
それでもというのだ。
「維新まででそれからは」
「ずっと農家ね」
「農家も色々あるけれどね」
「野菜泥棒とか」
「あと獣害もね」
これもあるというのだ。
「天気のこともあるし」
「台風とか」
「だから楽なお仕事でないし」
「大変ね」
「そうだけれどね」
それでもというのだ。
「穏やかで優しいから」
「佐京君達のお祖母さんは」
「安心してね」
「ええ、しかしね」
「しかし?」
「獣害は何処でもあるわね」
夜空はこちらの話にはこう言った。
「日本だと」
「山が多い国だからね」
「それで山には獣がいるわね」
「狐や狸がいて」
そうしてというのだ。
「栗鼠も兎もね」
「いるわね」
「ハクビシンもいて」
この生きものもというのだ。
「猿や鹿もいてイタチだってね」
「畑を荒らすわね」
「そう、そしてね」
そうであってというのだ。
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