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金木犀の許嫁

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第六十一話 相手が来てその八

「豊臣秀吉さんは日本人が海外で奴隷になっていると聞いて」
「買い戻して助けてるわね」
「聞いた瞬間に驚いて」
 そのうえ激怒したという。
「宣教師が関わっていると聞いて」
「そこから切支丹禁止したし」
「ですから」
 そうであるからだというのだ。
「あの人も奴隷制は反対で」
「幕府もね」
「それで忍者もです」
「奴隷の筈がないわね」
「確かに差別されている身分はありまして」
 穢多や非人と言われた人達だ、江戸時代のこの階級は実は偏見となって現代にも残っていることも事実である。
「問題はありましたが」
「奴隷じゃなかったわね」
「この人達も」
「そうだったわね」
「奴隷はです」
 そう呼ばれる人達はというと。
「本当にです」
「また違うわね」
「はい」
 そうだというのだ。
「世界的に見て」
「そうなのよね、ロシアとかの農奴とかね」
「ああした人達ですね」
「財産として扱われる様な」
「そうしたもので」
 それでというのだ。
「当時の日本には奴隷はいなくて」
「忍者もね」
「違いました」
「漫画だとです」
 佐京はさらに話した。
「非人から忍者になった」
「そんなキャラクターもいたのね」
「そうですが奴隷じゃなかったですし」
 カムイ伝という作品だ、白戸三平の代表作であり忍者漫画を代表する傑作であると言ってもいい名作である。
「忍者もそんなにです」
「立場悪くなかったわね」
「そうでした」
「むしろ武士にもなったり」
「そうした立場でした」
「そうよね、武芸に忍術もあるし」 
「武芸は武士がするものです」
 佐京はまさにと答えた。
「手裏剣も武芸ですから」
「それになるし」
「本当にです」
 実際にというのだ。
「忍者も忍術も」
「低いものじゃなかったわね」
「そうでした」
「そういうことね」
「それで忍者の資料を見ましても」
 今の様にというのだ。
「恰好いいと思われたら」
「嬉しいわね」
「俺もです」
 真昼に微笑んで話した。
「とても」
「そうね、あとね」
「あとといいますと」
「私達はこうして話して」
 そうしてというのだ。
「白華ちゃんはね」
「はい、彼とですね」
 佐京は微笑んで応えた。
「一緒にいますね」
「あの通りね」
 見れば白華は豊に案内されて二人で一緒にいる、彼の横でニコニコとして話を聞いておしゃべりに興じている。
 
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