金木犀の許嫁
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第六十一話 相手が来てその七
「それで下忍の人達も」
「同じよね」
「そう、別にね」
「確か武士よね」
「そうでなくてもね」
それでもというのだ。
「お百姓さんとか」
「そうした立場ね」
「だからね」
「悪い立ち場じゃなかったのね」
「お百姓さんはね」
「あの頃は殆どの人だし」
「それで悪いとかは」
そうしたことはというと。
「ないでしょ」
「そうよね」
「だからね」
それでというのだ。
「立場もね」
「忍者は悪くなかったのね」
「私達のご先祖様だって武士だったし」
「幸村公にお仕えする」
「それも直参のね」
そうしたというのだ。
「結構な立場だったでしょ」
「武士の中でも」
「幸村公は大名だったのよ」
関ケ原まではだ、石高は少ないがそれでも万石以上の禄高を持っていた紛れもない大名であったのだ。
「その直参って」
「武士の中でも結構な立場ね」
「そうだったし薩摩藩でもね」
「武士だったわね」
「それに伊賀でも甲賀でもね」
今度は彼等の話をした。
「幕府に召し抱えられていて」
「武士ね」
「実際服部半蔵さんそうでしょ」
「だから門にも名前残ってるわね」
「半蔵門ってね」
東京にあるそれの話もした。
「あるのよ」
「門になる位だったのね」
「服部家はね」
「武士の中でも高かったわね」
「そうよ」
その立場はというのだ。
「別に奴隷とかじゃなかったわ」
「日本に奴隷っていなかったんですが」
佐京が言ってきた。
「最初の頃はいましても」
「いなかったわね」
「確かに昔は人権思想もなかったですが」
それでもというのだ。
「奴隷はです」
「いなくてね」
「戦国時代はです」
「金山で働くととんでもなかったけれどね」
「奴隷はいなかったです」
制度としての奴隷は存在しなかったというのだ。
「幕府も反対していましたし」
「秀吉さんだってね」
「ですから忍者にしても」
「奴隷じゃなかったわね」
「日本で奴隷は」
本当にというのだ。
「いませんでした」
「そうなのよね」
「逆にです」
奴隷が存在したどころかというのだ。
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