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金木犀の許嫁

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第六十一話 相手が来てその六

「妖術使いじゃないから」
「そこが違うのよね」
「昔はね」 
 昭和三十年代頃まではだ。
「忍者っていうとね」
「妖術使いね」
「そう思われていたけれど」 
 しかしというのだ。
「それでもね」
「実は違って」
「それでね」
 そうであってというのだ。
「実際は水蜘蛛も使わなくて」
「乗れないわよね」
「とてもね」 
 それはというのだ。
「足に付けてもね」
「お水に浮かばないわね」
「あれも漫画だし」
「ここにもあるけれど」
「それが出来たかどうか疑問で」
 真昼はその水蜘蛛を見つつ夜空に話した。
「むささびの術とかも」
「疑問よね」
「出来なかったでしょうね」
 実際はというのだ。
「そういった術は」
「水蜘蛛もむささびも」
「水遁も」
 この術もというのだ。
「長く出来ないしね」
「ずっとお水の中にいるのってしんどいし」
「そう、しかも見えるわよ」
 隠れている筈がというのだ。
「しっかりとね」
「そうでもあるわね」
「お水に透けてね」 
 そうなっていてというのだ。
「どうしてもね」
「わかるわね」
「木の葉隠れの術も」
「あれもね」
「自分で木の葉撒いても」
「相手攻撃出来ないわね」
「ほんの目くらましよ」
 この術はというのだ。
「木の葉の山を投げてね」
「相手が怯んだ間に逃げる」
「そうしたものでね」
「大した術じゃないわね」
「やっぱり忍者ってね」
 自分達の先祖はというのだ。
「あまりね」
「派手な人達じゃないわね」
「そうよ」
 こう言うのだった。
「考えてみたら」
「それが現実ね」
「ええ、ここでもそう書いてあるし」
「超人みたいじゃなくて」
「あくまで現実の」
 この世界のというのだ。
「普通の人達よ」
「逃げて隠れる」
「妖術使いでもないし」
 こちらでもないというのだ。
「本当にね」
「普通の人達ね」
「それで立場も」
 これもというのだ。
「武士だしね」
「十勇士の方々だってね」
「そうだったしね」
 そうであってというのだ。 
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