金木犀の許嫁
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第六十話 伊賀へその十四
「とても」
「だからね」
「何かするなら」
「その前にね」
余裕があればというのだ。
「こうしてね」
「お茶を飲むんですね」
「他のことをしてもいいけれど」
それでもというのだ。
「まずはね」
「落ち着くことですね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「そうしてね」
「そのうえで、ですね」
「あらためてね」
「やっていくんですね」
「何でもね」
こう白華に話した。
「そうすればいいのよ」
「そうですか」
「それでどうしてね」
「どうしてといいますと」
「これからその人にお会いするの?」
「お寺の奥さんに正直にお話しまして」
それでというのだ。
「それからです」
「そいうなのね」
「駄目でしょうか」
「悪くないわね」
夜空は否定しなかった。
「それで」
「それじゃあ」
「けれどそれよりもね」
夜空はあらためて言った。
「待つ方がよくない?」
「待つっていいますと」
「いや、お城行きたいのよね」
「はい」
夜空にその通りだと答えた。
「後で」
「多分そのことはね」
「あちらもですか」
「ご存知だから」
だからだというのだ。
「待っていたらね」
「あちらからですか」
「申し出てくるんじゃないかしら」
こう言うのだった。
「案内をね」
「そうですか」
「知ってる場所でも」
既にというのだ。
「こうした時はね」
「案内してくれますか」
「ええ」
だからだというのだ。
「ここはね」
「そうしてくれるので」
「だからね」
それ故にというのだ。
「今はね」
「待つことですか」
「自分から動かないで」
そうであってというのだ。
「それでね」
「待って」
「来てくれたら」
相手の人がというのだ。
「その時にね」
「申し出を受けるんですね」
「ええ」
微笑んで答えた。
「そうしたらね」
「そうですか」
「待つことも大事よね」
「はい、忍術でも」
「こうした時はね」
「まずは落ち着いて」
「そして待って」
そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「相手が来れば」
「一緒にね」
「それじゃあ待ちますね」
「お茶もう一杯飲む?」
「はい、それじゃあ」
白華は笑顔で応えた。
「頂きます」
「それを飲んでね」
「落ち着くんですね」
「水分補給にもなるし」
「お茶を飲めば」
「それにね」
さらに言った。
「お茶はビタミン補給にもなるから」
「いいこと尽くしですね」
「しかも落ち着くから」
「尚よしですね」
「ええ、だからね」
それでというのだ。
「どんどん飲んでね」
「そうさせてもらいます」
白華は夜空と共にお茶を飲んだ、そうして今は落ち着いた。自分から動かず相手を待つことにしたのだった。
第六十話 完
2025・2・1
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