ハッピークローバー
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第百六十五話 二日目の夜その十三
「お酒でいいでしょ」
「そうよね」
かな恵も確かにと頷いた。
「それでね」
「一体何がいいのか」
「気持ちいいって言っても」
「それで破滅してどうするのよ」
「元も子もないわね」
「使ったらどう考えても長生き出来ないし」
注射で一本打てば一週間寝ずにいられる、そこまで身体のエネルギーを無理に引き出すものを用いかつ一週間も寝ないでいるとというのだ。
「やったらね」
「駄目よね」
「早死にするわよ」
絶対にというのだ。
「私も長生きしたいし」
「覚醒剤しないわね」
「そもそも犯罪だしね」
「したら駄目よね」
「ええ、しかしおばさんもね」
富美子はかな恵の母の話もした。
「ヘビーなことあったのね」
「幼馴染みの人がそうなるなんてね」
「そりゃ自殺するなってね」
「私にも言うわね」
「覚醒剤についても言うわよね」
「絶対にしたら駄目ってね」
「そうよね、自殺も覚醒剤もね」
どちらもというのだ。
「しない」
「そうしないとね」
「煙草もでね」
こちらもというのだ。
「身体に悪いし自殺はね」
「死んだらそれで終わりだし」
「したら駄目よ、しかし覚醒剤で一家心中って」
「最悪でしょ」
「そう言うしかないわね」
「借金作ってお家のお金に手を出してね」
そうしてとだ、かな恵も暗い顔で話した。
「余計に借金作って」
「会社もどうしようもなくなって」
「遂にね」
「一家心中ね」
「そうなったのよ」
「そんな一生は嫌ね」
「覚醒剤って本当に怖いわね」
こう富美子に言った。
「つくづく」
「ええ、今本当に思ったわ」
「そうよね」
「いや、何があってもね」
富美子は自分に誓って言った。
「私覚醒剤はしないわ」
「そうしないとね」
「さもないとそんなことにもなるから」
一家心中、このどうにもならない事態のことを頭に置いてそのうえでかな恵に対しても語ったのだった。
「最初からしないわ」
「それが一番よね」
「身体に悪いことはね」
煙草も含めてだ、そう思ってだった。
五人は焼きそばを食べて酒を飲んだ、そのうえで夜を過ごしたが夜はまだ長かった。
第百六十五話 完
2025・1・8
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