ハッピークローバー
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百六十五話 二日目の夜その十二
「何があってもね」
「したら駄目って言われたのね」
「痛いし」
死ぬ時にというのだ。
「それに残された人達が悲しむから」
「家族とかお友達が」
「そうなるからね」
「自殺はしないことね」
「そう言われたわ、何でもね」
かな恵はビールを飲む一華に話した。
「お母さんの知ってる人がね」
「自殺したの」
「それもね」
暗い顔になって話を続けた。
「奥さんが覚醒剤中毒になって」
「うわ、それはね」
「そう、家で小さな会社やっていて」
「覚醒剤に手を出して」
「会社のお金に手を出して」
そうしてというのだ。
「借金までして」
「それで自殺したの」
「旦那さんも手を出してね」
覚醒剤にというのだ。
「どうにもならなくなって一家でね」
「心中ね」
「無理心中したらしいの」
「ないわ」
一華はかな恵のその話を聞いて心底引いて述べた。
「もうね」
「そうよね」
「そうなったら」
それこそというのだ。
「最悪じゃない」
「そう、それでね」
そうなりというのだ。
「お母さんも私にお話したのよ」
「自殺するなって」
「お母さんの幼馴染の人だったのよ」
「知り合いっていっても深いお付き合いだったの」
「ご主人がね」
無理心中したその人がというのだ。
「その人がそうなって」
「かな恵にも言ったの」
「そうなの、それで私もね」
「自殺についてはそう思うのね」
「そう、それで覚醒剤なんて」
これはというと。
「したら駄目ってね」
「思う様になったのね」
「そのお話聞く前から思っていて」
「聞いてから尚更なのね」
「思う様になったの」
「そうなのね」
「あんなのしたらね」
それこそというのだ。
「破滅するわよ」
「というか怖いお話しかないでしょ、覚醒剤って」
富美子も嫌そうに述べた。
「しかもお金凄くかかるのよね」
「高価でね」
「ヤクザ屋さんの資金源になってるし」
「いいこと何もないわね」
「気持ちよくなりたいなら」
富美子はビールをぐい、と一杯飲んでから言った。
ページ上へ戻る