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第百六十六話 一家心中その一

                第百六十六話  一家心中 
 夕食が終わって後片付けをするとかなり酔っている面々はもうそこで寝た、だがまだ飲める面々はまだ起きていてだ。
 焼きそばは全部食べたので適当にあるものをつまみに飲んでいた、一華もその中にいてまだ飲んでいるかな恵のところに来て問うた。
「さっきのおばさんの幼い馴染みの人の」
「一家心中のこと?」
「本当のことよね」
「そうなの」
 かな恵はピーナッツを齧りつつ一華に答えた。
「お母さんが言ってたの」
「おばさん嘘言わないしね」
「わかるわよね」
「ええ、本当のことね」
「うちのお母さんが地元でね」
「そこでなの」
「ずっと遊んでいた人で」
 そうであってというのだ。
「叔母さん、お母さんのお姉さんがいじめてたそうなのよ」
「その人を」
「叔母さんやんちゃで」
 そうであってというのだ。
「そうしたことしてて」
「そうだったの」
「お母さん三人姉妹の真ん中でね」
「そのことかな恵言ってたわね」
「そうでしょ、それでね」
「おばさんと幼馴染みで」
「よく一緒に遊んだ人がご主人で」
 干した小魚を食べる一華に話した。
「お家が小さな会社で」
「そこを経営していて」
「奥さん迎えてね」
「一緒にやっておられたのね」
「そうしていたけれど」
 それがというのだ。
「奥さんが覚醒剤はじめて」
「ヤクザ屋さんと縁あったの」
「奥さんの親戚にいたそうで」
「それでなの」
「親戚も人もやってて」
「売る人もやるのね」
 一華は呆れた顔で応えた。
「覚醒剤って」
「そうした人もいるみたいね」
「売人がやったら駄目でしょ」
「売るから簡単に手に入るからちょっと拝借してね」
「はじめるの」
「そう、それでね」
 そのうえでというのだ。
「中毒になるらしいよ」
「馬鹿なお話ね」
「私もそう思うわ、それでね」
「中毒になって」
「それで奥さんにも勧めてね、売ってね」
「奥さんも中毒になって」
「ご主人にも勧めて」 
 麻薬中毒であることだ、こうして広まっていくのだ。
「一家でってなって」
「借金して会社のお金に手を出して」
「もうどうしようもなくなってね」
「一家心中ね」
「そうなったらしいわ、ちなみに勧めた親戚の人は」
 所謂元凶はというと。
「覚醒剤やってふらふらしている時に川に落ちて」
「溺れ死んだのね」
「そうなったらしいわ」
「皆死んだのね」
「そうみたいね」
「嫌な結末ね、幾ら何でも一家心中ってね」
 一華はビールを曇った顔で飲みつつ言った。
「ないでしょ」
「お子さん達も巻き添えにしてね」
「最悪の結末ね」
「そう言うしかないわね」 
 かな恵も曇った顔で応えた。 
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