ハッピークローバー
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第百六十五話 二日目の夜その十一
「好きになってたわ」
「そうなったのね」
「私もね」
「そうだったのね、それでイケメン作家というと」
理虹はあらためて話した。
「私はやっぱりね」
「芥川さんが太宰さん?」
「細面で知的な感じの」
そうしたというのだ。
「着物の人好きだから」
「まさにお二人ね」
「そうなの、ただね」
理虹はそれでもと言った。
「二人共癖強いわね」
「それはね」
かな恵も否定しなかった。
「芥川さんお風呂嫌いで」
「太宰さんも自殺マニアで」
「物凄い人生よね」
「そうだったからね」
だからだというのだ。
「ファンならいいけれど」
「お付き合いしたらね」
「大変よ」
「そうよね」
「心中もね」
それもというのだ。
「芥川さんも考えていたっていうし」
「太宰さんそればかりだしね」
「死にたくないから」
一言で言った。
「私はね」
「私もそうよ」
「長生きしたいから」
「心中なんてね」
「絶対にね」
それはというのだ。
「嫌だから」
「そうよね」
「だからね」
「自殺なんてしないことよね」
「それで全部終わりだし」
「芥川さんも太宰さんもね」
「自殺しなかったら」
二人で話した、そしてだった。
かな恵はストロング系をまた飲んだ、そうしてから焼きそばもすすってそうしてこんなことを言ったのだった。
「こうして飲んで食べることもね」
「自殺したら出来ないしね」
一華が応えた。
「もうね」
「美味しいものを作ってね」
「食べることもね」
「出来ないから」
だからだというのだ。
「本当にね」
「自殺したら駄目よね」
「長生きしないと」
かな恵は心から思って言った。
「駄目でしょ」
「人はね」
「それで自殺なんてね」
「したらそれで終わりだし」
「しないことよ、お母さんが言うにはね」
かな恵は母に言われた言葉をここで出した。
「自殺する位なら今自分がいる場所から逃げて」
「難を逃れることね」
「そうしなさいってね」
「おばさんに言われたのね」
「昔ね、勿論煙草とか身体に悪いこともね」
「駄目よね」
「それで自殺はね」
これはというのだ。
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