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金木犀の許嫁

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第六十話 伊賀へその九

「とても」
「それじゃあ」
「行きましょう、お城に」
「わかりました」
「私もです」
 白華はにこにことして楽しそうに言った。
「行かせてもらいます」
「お城に」
「本当に色々と学べますので」
「行かせてもらうのね」
「はい」
 そうだというのだ。
「そうさせてもらいます」
「じゃあ五人一緒ね」
「そうですね」
 真昼の言葉にも頷いた。
「私達は」
「そうよね」
「お城に行くことも」
「いや、あのお城はね」
 伊賀上野城はとだ、真昼は言った。
「行ったことないし」
「楽しみですね」
「どんな場所かね」
「いいお城ですよ」
 白華は微笑んで答えた、その口調は既にその場所を知っていてそのうえで語るもので暖かさもあった。
「とても」
「そうなのね」
「はい、ただ」
「ただ?」
「何でも天守閣はです」
 これはというと。
「最初はなかったそうです」
「そうなの」
「江戸時代は」
「今はあっても」
「それでもです」
「実はなくて」
「後になってです」 
 真昼に話した。
「建てられたらしいです」
「そうなのね」
「実は」
「今はあっても」
「ずっとなくて」 
 江戸時代はというのだ。
「そうらしいです」
「そうだったの」
「他にもそうしたお城あるみたいです」
「ずっと天守閣がなくて」
「後になってです」
「建てられたのね」
「そうです」
 真昼に話した。
「大阪城もそう言うとです」
「今の天守閣昭和に建てられたしね」
「ずっとなかったですね」
「ええ」 
 そうだったというのだ。
「実はね」
「そうでしたね」
「今の天守閣は三代目だから」
 昭和に建てられたそれはというのだ。
「初代は大坂の陣で焼けて」
「私達のご先祖様達が戦った」
「二代目はね」 
 大坂の陣の後徳川幕府が再建したものだ、その規模は豊臣秀吉のものよりも遥かに小さくなっていた。
「落雷でね」
「焼け落ちましたね」
「そう、江戸城の天守閣も再建しなかったし」 
 明暦の大火で焼けたそれがというのだ。 
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