金木犀の許嫁
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第六十話 伊賀へその十
「大坂城の方もね」
「再建しなかったですね」
「それで長い間なかったけれど」
二世紀半以上そうであったのだ。
「それがね」
「昭和にですね」
「昭和六年に建てられたのよ」
「それが今の天守閣ですね」
「ええ、秀吉さんの頃の天守閣をね」
その外観をだ。
「徳川幕府の天守台の上に建てたのよ」
「それが今の天守閣ですね」
「これが随分タフで」
そうであってというのだ。
「空襲を受けてもね」
「生き残ったんですね」
「周り瓦礫の山になったけれど」
陸軍の司令部がありかつ周りに軍需工場が集まっていた、それでアメリカ軍も激しい爆撃を行ったのだ。
「天守閣だけはね」
「残って」
「今に至るのよ」
「タフですね」
「名古屋城は空襲で壊れたけれど」
それで今の名古屋城天守閣は二代目であるのだ。
「大阪城は生き残ったのよ」
「三代目はそうですね」
「そうなの、それでね」
「夜空さんは大阪城がお好きですね」
「ええ。確かに秀吉さんの頃の大阪城じゃないけれど」
それでもというのだ。
「ご先祖様はあのお城で戦ったし」
「大坂の陣で」
「それで大阪生まれだし」
「お好きなんですね」
「鉄筋のコンクリートなんて言う人もいるけれど」
その天守閣がというのだ。
「天守閣は天守閣だしね」
「お好きですね」
「大好きよ」
そこまでだというのだ。
「本当にね」
「そうなんですね」
「だから」
それでというのだ。
「これからもね」
「あの天守閣をですね」
「機会があれば行ってね」
そうしてというのだ。
「中の資料館もね」
「秀吉さんのですね」
「それを観て回るわ」
「そうされますか」
「ええ、そしてね」
さらに言うのだった。
「今はね」
「伊賀上野城のですね」
「天守閣をね」
こちらをというのだ。
「観ましょう、その中にもね」
「入って」
「そして忍者の資料もね」
そちらもというのだ。
「観ましょう」
「それでは」
「色々なものが展示されているんだ」
佐京は夜空に微笑んで話した。
「あちらの忍者資料館にはね」
「そうなのね」
「忍者の道具もね」
「手裏剣とかも」
「それで水蜘蛛もね」
こちらもというのだ。
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