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金木犀の許嫁

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第六十話 伊賀へその七

「特にです」
「古くはないですね」
「そうですね、ではこれより」
「挨拶をしますね」
「そうしましょう」
「何かです」
 ここで白華も言って来た。
「お墓まではお家でない感じですね」
「そうよね」
 真昼も確かにと頷いた。
「門を潜っても」
「それでお寺自体の前に来て」
「ようやくね」
「お邪魔しますって感じです」
「そうなったわね」
「これがこのお寺ですね」
「そうしたお寺もあるのね、それじゃあ」
 真昼は白華に改めて言った。
「これからね」
「はい、チャイムを鳴らしましょう」
「そうしましょう」 
 家の玄関の前まで来て話した、そしてだった。
 白華がチャイムを鳴らした、するとすぐに優しそうな顔立ちの整った黒髪を後ろで束ねた小柄でややふくよかな中年の女性が出て来た。
「はい、いらっしゃい」
「あの、私達は」
「はい、真田さんと猿飛さんと西宮さんですね」
「はい」
 幸雄が応えた。
「左様です」
「先程連絡を受けましたが」
 女性は幸雄に話した。
「駅に着いたと」
「連絡をさせて頂きました」
「届いています、では」
「これよりですね」
「上がって下さい、お部屋も用意しています」
 そちらもというのだ。
「二つありますので」
「そちらにですね」
「まずはお入り下さい」
「お言葉に甘えまして」
「それでは」
 こう話してだった。
 五人寺の本堂とは別の場所に案内された、家族が暮らす家の隣の建物で和風の奇麗な場所であった。
 そこに入るとだ、その部屋は。
「幸雄さんと佐京君と」
「私達三人ですね」
 白華は案内された畳と襖の部屋の中で夜空に応えた。
「そうですね」
「ええ、それで二つね」
「そうですね、それでですが」
「白華ちゃんはお見合いね」
「何でもです」
 白華は夜空に話した。
「お父さんとお母さんが来てくれるとのことで」
「ニュージーランドからなの」
「はい」
 この国からというのだ。
「それでここに着いたら」
「お見合いね」
「そうなるとのことです」
「お見合いっていうと」94
 夜空は佐京とのそれを思い出して話した。
「お互いの親御さんがね」
「いますね」
「お家とお家のね」
「お話でもあるので」
「それでね」
 そうであるからだというのだ。 
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