金木犀の許嫁
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第六十話 伊賀へその二
「その久し振りの伊賀なので」
「それで、ですね」
「楽しみでもあります」
「そうですか、そういえば」
ここで真昼はこんなことを言った。
「伊賀の名物は」
「伊賀牛でしょ」
妹の夜空が答えた。
「あそこの名物は」
「牛ね」
「そう、近江牛も有名で」
「そういえば結構近いわね」
「それでね」
「あそこはなのね」
「牛、牛肉がね」
これがというのだ。
「名物よ」
「そうだったわね」
「昔はね」
夜空はさらに話した。
「牛肉を食べるなら」
「味噌漬けよね」
「それを網焼きにしてね」
そうしてというのだ。
「食べていたわ」
「そうだったわね」
「その食べ方は」
佐京も言ってきた。
「井伊直弼さんも好きだったね」
「あの人もね」
「幕末の大老だった」
「桜田門外の変で暗殺された」
「あの人はまさに」
「近江だったわね」
「彦根藩でね」
本来は藩主になれない位の立場であったが兄の養子となりその兄が藩主であったことから藩主になったのだ。
「その藩でね」
「今の滋賀県にあって」
「昔からね」
江戸時代からというのだ。
「牛を飼っていて」
「お肉も食べていたね」
「だからね」
それ故にというのだ。
「あの人もね」
「牛肉をね」
「食べていたわ」
「そうだったね」
「それでね」
夜空はさらに言った。
「この味噌漬けがね」
「美味しいよね」
「ええ、網焼きにしてもよくて」
「そのまま焼いてもね」
「よくてね」
それでというのだ。
「私もね」
「好きなんだね」
「そうなの」
佐京に微笑んで話した。
「実はね」
「いいよね」
「そのね」
「味噌漬けもだね」
「伊賀でもね」
「食べられるね」
「お家によってはね」
「いいよね」
「お味噌はね」
夜空は話を続けた。
「保存も利くし」
「味付けにもいいね」
「だからね」
それでというのだ。
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