金木犀の許嫁
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第六十話 伊賀へその一
第六十話 伊賀へ
程なく伊賀に行く時が来た、五人は電車で行くことになった。
「ではこれからです」
「電車旅ですね」
「長い旅ですね」
幸雄は白華に笑顔で応えた。
「これは」
「そうですね、ですが」
「はい、やはりです」
幸雄は白華に応えて言った。
「車を運転してですと」
「遠いですからね」
「神戸から伊賀までは」
「ですから疲れますので」
「それならですね」
「はい」
白華はそれならと言った。
「私達四人としては」
「電車ですね」
「幸雄さんにばかり負担をかけますと」
そうなると、というのだ。
「本当にです」
「よくないのですね」
「そう思いまして」
それでというのだ。
「四人でお話しまして」
「決めてくれましたね」
「電車でと」
「そうですね、有り難いです」
幸雄は微笑んで述べた。
「気遣ってくれまして」
「それで、ですか」
「左様です」
こう夜空に言った。
「では今回はです」
「座ってですね」
「そうしてです」
そのうえでというのだ。
「電車での旅をです」
「楽しまれて」
「そのうえで」
「伊賀に行かれますね」
「そうしましょう、思えばです」
幸雄はこうも言った。
「伊賀に行くのもです」
「久し振りですか」
「はい」
今度は真昼に答えた。
「私も」
「そうなんですね」
「そうですか」
「去年からです」
それからというのだ。
「一度もです」
「去年ですか」
「そうです」
今度は真昼に答えた。
「お邪魔したのは」
「去年でしたら」
「それ程ではですね」
「ないんじゃ」
「いえ、私としてはです」
「それでもですか」
「久し振りとです」
その様にというのだ。
「思います」
「そうですか」
「毎年お邪魔していますので」
「そうした感覚ですか」
「そうです」
こう言うのだった。
「これが」
「そうでしたか」
「それで、です」
幸雄はさらに話した。
ページ上へ戻る