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金木犀の許嫁

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第五十九話 母方の祖母その十一

「人の世話や引き立てもです」
「されていたんですね」
「そうでした、それでです」
「私達のご先祖様達もですか」
「お世話になっていました」
 そうだったというのだ。
「かなり」
「そうだったのですね」
「その西郷さんと大久保さんが亡くなり」
 そうしてというのだ。
「その後は伊藤さんが八条家を引き立ててくれて」
「伊藤博文さんですね」
「私達のご先祖は八条家にお仕えしてきました」
「そうでしたか」
「伊藤さんはまた面白い人で」
 幸雄は今度は伊藤博文の話をした、明治日本においてこれ以上はないまでの貢献を果たした人物である。
「その人の出自にこだわらず」
「引き立てる人でしたね」
 真昼が応えた。
「あの人は」
「はい、そして」
 そうであってというのだ。
「八条家を引き立ててくれて」
「日本有数の財閥にしてくれましたね」
「三井三菱と並ぶ」
 そこまでのというのだ。
「そうしてくれました」
「そうでしたね」
「そしてその明治の中で」
「ご先祖様達は生きておられて」
「服部家と共にです」
「戦ってもいましたか」
「江戸時代は敵同士でも」
 そうであってもというのだ。
「維新以降はです」
「一緒に日本の為に戦ったんですね」
「二次大戦まで」
「戦争がある度に」
「二次大戦は敗れましたが」
 それでもというのだ。
「そうしました」
「そうでしたか」
「ですからもうです」
「親戚同士として」
「仲よくしています」
「時代が変わればですね」
 しみじみとした口調でだ、夜空はここまで話を聞いて述べた。
「何かと変わりますね」
「その通りです」
 幸雄は夜空に微笑んで答えた。
「幕府が終わり」
「明治政府になって」
「そこも変わりまして」 
 そしてというのだ。
「そのうえで今は平和ですが」
「親戚同士としてお付き合いがあって」
「真田家の者もです」
「時々、定期的にですか」
「お邪魔しています」
 伊賀の方にというのだ。
「そうしています」
「だから幸雄さんもですか」
「お伺いさせて頂きます」
 白華達と共にというのだ。
「それで車で行くのなら」
「運転してくれますか」
「はい、神戸から伊賀に行くとなると」
 それならというのだ。
「電車ですと乗り換えがありますが」
「自動車ならですね」
「高速道路を使えばです」
「楽に行けますか」
「そうですし」
「運転してくれますか」
「そうさせて頂きます。以前も車で行ったことがありますし」
 神戸から伊賀までというのだ。 
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