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金木犀の許嫁

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第五十九話 母方の祖母その十

「幕末の時に」
「その恩があって」
「ですから」
 それが為にというのだ。
「とてもです」
「西郷さんと戦えなかったですね」
「また西郷さんと共に戦うことも」
 こちらもというのだ。
「当時の八条家のご当主に止められていまして」
「出来なかったですね」
「そうでした」
「そうだったんですね」
「ですから」
「あの戦争には参加していないですね」
「私達のご先祖は」 
 そうだったというのだ。
「そして神戸で西郷さんの死を知りました」
「そうでしたか」
「実はとある人が大久保さんに抗議しようとしましたが」 
 西郷と戦った明治政府を率いていた彼と、というのだ。
「止めまして」
「それはどうしてですか?」
「大久保さんの本心を聞いたからです」
 その彼のというのだ。
「実は大久保さんが最もです」
「西郷さんと戦いたくなかったんですね」
「そうでした」
「お二人は幼馴染み同士で」
「共に生きてです」
「一緒に戦ってきましたね」
「互いに支え護り合い」
 そうしていってというのだ。
「無二の間柄だったので」
「だからですね」
「はい」
 それ故にというのだ。
「とてもです」
「西郷さんと戦うには」
「耐えられない筈でした、ですが」
「それでもですね」
「戦うしかなく」
 そうであってというのだ。
「戦い誰よりも悲しんでいました」
「そのことを知ったので」
「言いませんでした」
「そうだったんですね」
「そして大久保さんが倒れた時は」
 暗殺されてというのだ。
「泣いたそうです」
「そうだったんですね」
「冥福を祈って」
「悲しいですね」
「全く以て。大久保さんにもです」
 その彼にもというのだ。
「ご先祖様達はよくしらもらったそうです」
「西郷さんだけでなく」
「大久保さんは悪人ではありませんでした」
「冷徹なイメージがありますね」
 白華は大久保利通についてこう述べた。
「どうも」
「確かにそうでした」
「西郷さんの参謀でいつも傍にいて」
「幕末は策を出していましたね」
「維新からも」
「明治政府の頭脳としてです」
「物凄く頭が切れて」 
 それと共にというのだ。
「冷徹にことを進める」
「そうした人でしたが決して悪人ではなく」
 そうであってというのだ。 
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