金木犀の許嫁
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第五十九話 母方の祖母その九
「縁組も経て」
「親戚同士ですね」
「そしてそれはです」
その縁戚関係はというのだ。
「真田家と十勇士のお家はそれぞれ親戚関係にもなったので」
「だから私達もですね」
「はい」
まさにというのだ。
「親戚同士です」
「服部家と」
「かつては敵同士でもです」
それでもというのだ。
「時代が変わり」
「今は親戚同士ですね」
「それも縁の深い」
そうしたというのだ。
「親戚同士です」
「そうなったんですね」
「ですから」
それ故にというのだ。
「けっしてです」
「荒そうことはないですね」
「むしろ仲よくです、現に戦争の時は」
「確か」
白華が言ってきた。
「真田家と十勇士のそれぞれのお家は日露戦争では」
「どのお家も活躍しました」
「情報収集において」
「そうでした、そして服部家も」
この家もというのだ。
「同じくです」
「情報収集で活躍しましたね」
「それは日清戦争も同じで」
この戦争でもというのだ。
「二度の世界大戦でもです」
「そうでしたね」
「戦死する人も出ましたが」
それでもというのだ。
「活躍しました」
「共にですね」
「日本の為に」
「そうでしたね」
「ですからもうです」
「敵同士ではないですね」
「共に日本の為に何度も戦ったのですから」
だからだというのだ。
「戊辰戦争から」
「そうでしたね」
真昼は幸雄の今の言葉にはっとした顔になった、そうしてそのうえでこうしたことを言ったのであった。
「戊辰戦争で藤堂家は朝廷についたので」
「そうでしたね」
「鳥羽伏見の戦いから」
「その時に伊賀忍者の人達もです」
「朝廷について」
「それからです、我々は薩摩藩にいたので」
朝廷側のというのだ。
「味方同士となりました」
「そうでしたね」
「ですから」
それでというのだ。
「あの戦争からです」
「私達と伊賀忍者は味方同士ですね」
「はい、ただ西南戦争では」
幸雄はこの戦争の話もした。
「伊賀の人達は参加した人もいましたが」
「私達のご先祖はですか」
「誰もが軍におられず」
当時の真田家と十勇士の家の者達はというのだ。
「それに長年薩摩におられたので」
「参戦はですね」
「とてもです」
「心情的に出来なかったですね」
「ご先祖は西郷さんにもよくしてもらいました」
西南戦争で担ぎ出された彼にというのだ。
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