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だからってなんだよー 私は負けない

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5-5

 次の土曜日、荷物を送る日。ひかるちゃんが、どんな風にやっているのか、一度見てみたいというので、朝から来ていた。

「あー しんどい この坂 自転車押してやないと登られへんヤン」

「まぁ それもあって 私は 学校行くの 歩きやねん」

 ひかるちゃんは、私が言っておいたので、長袖、長スボンのジャージに首にタオル、野球帽、長靴でやってきた。

「えっ 根性無しの篠田も居るん?」と、オレンヂの繋ぎ服の貫次を見て・・・

「なんじゃー その 根性ナシってー」

「だって お兄ちゃんが同じ高校で一緒に野球やろうて誘ったのに、もう やっていくって自信ないネンって・・・」

「それはなー 才能に俺は限界感じたからやー」

「そやでー 貫次は根性無しちゃうでー 私は・・・この前 修学旅行の時も代わりにやってくれたしー それに、貫次が居らへんかったら、続いていたかどうかわからへんねん 私の大切な相棒やー 文句も言わんともくもくと手伝ってくれるネン 根性あるでー」

「すぐり・・・ お前 そんな風に、俺のことを・・・」

「へぇー 人 それぞれに取柄ってあるもんやなー」と、ひかるちゃんは他の2人も見比べていたのだ。

「あっ 俺の中学から仲の良い 智彦と しぶき」

「あっ あっ 見たことある 野球部のー しぶきさんってマネージャーの・・・」

「そう 同じ高校 すぐりが忙しくなってきて、ゆうからー 応援してるの もちろんバイトだよ」

 しぶきさんは、短パンに半袖のTシャツで、お水で洗うとはいえ、汗が出て来て暑いそうだから。

 そして、みんなで山に向かって、途中でしぶきさんは待機して、最初に採集したものを持って、洗浄に向かうのだ。第2弾は智彦さんがもう少し上の方から、獲ったものを中継して運ぶのだ。そして、最後は私と貫次が採り終えたものを、みんなで洗浄・選別して、水を拭きあげて、包装・梱包。

 ひかるちゃんは、ずぅっーと私の側に居て見ていたのだけど、梱包まで終わった後

「すぐり 思っていたよりすごいことをやっているのね! 3人も雇っているって感じなの?」

「そーだよ ボランティアなわけないじゃん」

「ふ~ん それで 池浦さんとこのんも買い取ったりしてるんだ それを送って売るようにしてるんやー 篠田さんとこの椎茸もやろー? すごいなぁー」

 午後からは、ひかるちゃんと英語の勉強をしようと決めていたので、私は、竈に火を入れて、焼きおにぎりと椎茸を焼いてお醤油を垂らして

「わぁー 椎茸 おいしいぃー ぶ厚くて 歯ごたえもあって」

「で しょう? 貫次の家のもんなの これも売っているのよー」

「すぐり すごい すごすぎる こんなだって 思ってもいなかったわ」

「うん 7月には、ここも 改装するの もう少し広げるの」

「・・・ 何と言って良いのか―・・・」

 その後、勉強していて、突然 ひかるちゃんが

「すぐり 1番 狙っているの?」

「・・・うん ・・・でも ひかるも高井勝秀が居るからなー」

「なんで? なんでそこまで・・・1番やないとあかんの?」

「うん あのなー 私 こんなことやってるやんかー もし 学校にバレたら何言われるか わからんやんかー そやから 勉強も頑張っていますからって ことになったら 誰にも文句言われへんやんかー」

「へぇー そこまで 考えてるんかー でも あかんでー 私やって 1番になるってー お母さんも 楽しみにしてるんやー」

「なんやのー それっ そしたら 二人で1番になったら ええやんかー」

「そーかぁー 親友みたいなもんやものなー」

 - - - ☆ ☆ ☆ - - -

 学期末テストの時、戻ってきた数学の答案用紙を見せ合うと、両方の二人は100点だった。そして、夏休み前に通知表を渡されて、今年から成績順位を発表するのは中止にしたとかだった。

 だけど、住友先生に私とひかるちゃんの二人が呼ばれて

「今年から、成績の順位は知らせて無いんだけど・・・ふたり揃って、クラスではトップだったのよ。志津川さんは、1年の時より伸びているの。あなた達、仲良さそうなんだから、一緒に勉強したのかしら・・・。先生ね 2年になる時、ふたりを強引に一緒にしたのよ。見ていると、ふたりは、気が合うように思っていたからーね お互い、伸びるだろうなって 安心したわ」

「・・・うー・・・ 先生 2組のトップは?」

「そうねぇー となりのクラスだから、詳しいことはわからないけど・・・学年では 高井勝秀君とあなた達ふたりは 抜けているわー これからも、頑張ってね」

 職員室を出て来ると、いきなり ひかるちゃんが私の背中叩いてきて

「いたいヤン なにするん?」

「だってさー すぐりが言っていたよーに 揃って1番なんやでー すぐりって 不思議ちゃんやねー」

「そんなことないよー でも でも ひかると揃ってって嬉しい 私 小学校の時 そんなに仲のええ子っておらへんやったやんかー だから 今 嬉しいんやぁー」

「ごめん 私 小学校の時 すぐりのこと気になってたんやけど・・・もっと 早いここと仲良くなってたらよかったんやなー」

「ううん 今 こーやって・・・ありがとうな ひかる これからも仲良くね!」

 そして、廊下から職員室の燿先生の姿が見えたので、 Vサインを送っておいたのだ。 
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