だからってなんだよー 私は負けない
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お盆に篠田社長さんから、庭でバベキューをやるからと誘われて、お昼過ぎに行くと、高校生の3人組も来ていた。それに、貫一兄ちゃん。
社長さんが缶ビールを片手に焼いていて
「すぐりちゃん 関田の野郎が 感心してたぞ 改造したの請求書届けたら、直ぐに振り込んできたって 80万位なんだけど まだ、中学生なんだろうけど、しっかりしているってー」
「あー 社長さんのお陰で 安くしてもらいました。ありがとうございました」
「ん まぁ それは良いんだけど 資金繰りはうまくいっているのかな?」
「はい 設備にお金 使っちゃったので、そんなに残ってないですけど、これからですよー 通販のお客様も増えてきているしー」
「そうかー こいつ等のバイト代も大変なんだろう? 貫次がな 春から、ウチのヤツに小遣いは要らないって、言っているんだよー 払い過ぎなんじゃーないのか?」
「いいえぇー そんなことないですよ 助かってますからー 私だけじゃぁ どうしようも無いですからね! それに、夏なんて暑いのに申し訳ないぐらいです」
「貫次がな 夏休みになって、ウチのほうも手伝ってくれているんだけど、手際が良くなってな 助かってるんだよ すぐりちゃんとこのお陰だね あのさー 帳簿のほうはちゃんとつけているのか?」
「うん お母さんがやってくれています。今回のも、先を見越して資産計上にしましょって言っていた。私、わかんないからー お母さんに任せっきりでー」
「う~ん それは・・・どっちともなー・・・ あのさー 25日からお母さんが旅行に行くって、もちろん知っているよねー 泊まりで・・・」
「はい 知ってますよー」
「珍しい どうしたのって聞いたら 一番大切な人と温泉旅行ですってな 僕は、あぁー とうとう そーいう人が現れたんだと、詳しいことは それ以上突っ込めなかったんだけどー すぐりちゃんは 何か聞いているんかい?」
「はぁー はあー 一番大切な人・・・ 私ね お母さんと旅行することになってるんですけどー 25日から・・・」
「えっ えーぇ すぐりちゃんとなんかぁー?」
「はい 取引先で上高地のオーベルジュのオーナーが、招待くださってー 松本城を見て、上高地に行ってぇー 次の日は平湯というとこで温泉に入って、高山の町を歩いて帰ってくるの お母さん 旅行って行ったことが無いんだって! 私は、この前 修学旅行行ったでしょ だからね 私、少し貯めたからー そのお金で それにね 白いお湯のん 硫黄温泉 入ってみたいんだって もちろん 私も 入ったこと無いんだけどねー それと、高山でお肉のお寿司 食べるの 楽しみなんだぁー」
「あっ あー そーだったんかぁー なぁーんだ」
「ほらね! この人ったら、紗栄子さんに誰か 良い人が出来たみたいだってー まだ 若いから 当然だよなーって 気落ちしてたみたい ほんと バカよねー 私は、すぐりちゃんが居るのに そんなことはないよ! って言っているのにー」と、おばさんも缶ビールをプシュッとしていた。
「だってよー だったら 初めからそー言えばいいじゃぁないかー」
「そんなのー 少しからかわれたんじゃあないの! でも 紗栄子さん 羨ましいなぁー それも すぐりちゃんが稼いだからなんてー 私なんて 何年か前に丹後のほうに、海水浴に行ったきりよー」
「まぁ そーいうなよー 紗栄子さんも休みも無く、今まで必死に働いてきたんだから そのご褒美なんだろうよー よぉーし じゃぁ 僕も 普段から、よく働いてくれているウチの嫁さんに感謝の意味でどこか連れて行くかー 椎茸も一区切りついているからー」
「ワォー まぁまぁ 雪になんなきゃぁー良いけどねー 私、明石大橋が見える海辺がいい」
「ありゃ りゃりゃやー どっちみち 俺等なんか置いて行くんだろう まぁ ええけどー 二人で 仲良く 行って来いよー 晩は カップラーメンでも食べておくからー」と、貫次も物分かりのいい奴なんだ。だから
「私 良かったら ご飯作りに来てもいいよ! 卵のキッシュと木くらげのバターライス ナカミチのチーフに作り方教わったからー」
「教わったって・・・作ったこと無いんかい?」と、貫次は疑わしい言い方だった。
「うん 初めてなんかなぁー でも 大丈夫だよ 嫌なら よすけどぉー カップラーメンにすればぁー」
「いいじゃぁないか 考えてみれば すぐりの作ったものなんて、食べたこと無いよー 楽しみだよ それに レストランで出ているものと同じもんなんだぞー」と、貫一兄ちゃんは言ってくれていた。
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