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ハッピークローバー

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第百六十四話 文化祭でもカレーその八

「けれどその頃は」
「麦飯はそうした事情があって」
「それでね」
「人気がなかったんだね」
「だから海軍でもね」
「不評だったんだね」
「折角軍隊に入ったのに」
 白米のご飯が常に腹一杯食べられる筈がというのだ、兎角当時はそうであることが極めて重要だったのだ。
「美味しいものをって思ったら」
「まずいものが出て」
「何だそれはってなって」
 それでというのだ。
「暴動もね」
「起こりそうだったんだ」
「そうみたいよ」
 実はというのだ。
「これがね」
「そうだったんだ」
「そう、そしてね」
 理虹は話を続けた。
「陸軍だとね」
「あの森鴎外さんが大反対して」
「そしてね」
 それだけでなくというのだ。
「そうした事情もあって」
「白米のままだったんだね」
「そうしたらね」
「脚気の人が沢山出て」
「とんでもないことになったのよ」
「日清戦争からね、けれど」
 ここで古田はカレーの中にある豚肉をスライスしたものを食べて言った、肉の量は見ると結構以上に多い。
「豚肉食べたらね」
「脚気にならないのよね」
「そうなんだよね」
 こう理虹に話した。
「だってね」
「豚肉にはビタミンB沢山あるから」
「それでね」
「そうだけれど当時はおかずがね」
「ああ、質素で」
「豚肉もね」 
 今話しているそれもというのだ。
「あまりね」
「なかったから」
「それでね」
 そうした事情があってというのだ。
「白いご飯だけだで」
「脚気になったんだね」
「そうみたいよ、おかずもね」
「大事だよね」
「カレーなんてね」
 理虹はこの料理自体の話もした。
「お野菜沢山入っていて」
「お肉も入っていてね」
「栄養バランスいいから」
「かっけにもならないけれどね」
「それでもね」
 それがというのだ。
「白いご飯だけだと」
「脚気になるね」
「それで陸軍はね」
「脚気の人が多いままだったね」
「そうみたいよ、しかしね」
「しかし?」
「こうして麦飯のカレーを食べても」
 ルーがかけられた麦飯をその中にある蕪と一緒に食べて言った。
「美味しいわね」
「それもかなりね」
「今は麦飯もね」
 これもというのだ。 
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