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ハッピークローバー

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第百六十四話 文化祭でもカレーその九

「冷えないし」
「美味しいよね」
「私たまに見る」
 そうしたというのだ。
「売っているお握りでもね」
「麦飯のがあったら」
「買って食べるのよ」
「そこまで好きなんだね」
「美味しいからね、ただうちではね」
 家ではというと。
「お父さんもお母さんも妹も興味ないのよ」
「麦飯になんだ」
「だからね」
 それでというのだ。
「いつも食べても平気なのに」
「食べないんだ」
「それで母方のお祖母ちゃんのお父さんの」
「ひいお祖父さんだね」
「もう九十越えてるけれど」
 この人はというと。
「麦飯は貧しい時にいつも食べていて」
「その時を思い出すから嫌なんだ」
「昔の日本はまだまだ貧しかったから」
「戦争があって」
「それで負けてね」 
 そうなりというのだ。
「それでね」
「貧しい時に麦飯を食べて」
「お父さん、ひいひいお祖父ちゃんが」
 その人がというと。
「戦争から帰ってきたけれど」
「戦死しなかったんだ」
「そのことはよかったけれど」
 それでもというのだ。
「右手なくなっていてそのこともね」
「大変だったんだ」
「年金は出たけれど」
 戦傷者のそれはというのだ、戦死者の遺族にも出ていて日本政府も国民に対して義務は果たしていたということがわかる。
「それでもね」
「そのことも大変で」
「戦争とあの頃にね」
 その時代にというのだ。
「いいイメージなくて」
「その時に麦飯を食べていて」
「あの頃を思い出すから」
 だからだというのだ。
「麦飯はね」
「好きじゃないんだ」
「白いご違反がね」
 白米のそれがというのだ。
「一番だってね」
「言っておられるんだ」
「そうなのよ」
 こう古田に話した。
「もうひいひいお祖父ちゃんいないけれど」
「流石にね」
「戦争に行った人は」 
 最早というのだ。
「殆どね」
「お亡くなりになってるね」
「時代が進んだから」
 それ故にというのだ。
「もうね」
「戦争を経験した人も殆どいないね」
「行った人はね」
「そうだよね」
「大勢の人が死んだから」
 第二次世界大戦ではというのだ。 
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