マーメイドプリンセス
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第二章
女性のところに行くとだ、泳ぎつつ言った。
「これから一緒に泳がないか?」
「俺達とな」
「そうしないか?」
「この海でな」
「いいわよ」
女性はにこりと笑って答えた、実に明るい笑顔だった。
「私速いけれどいいかしら」
「ああ、いいよ」
「俺達だって水泳には自信があるからな」
二人も明るく返した。
「じゃあ一緒にな」
「泳ごうな」
「それじゃあね」
「あの島まで泳ごう」
「勝負だ」
ビーチから離れた小島を指差して話した。
「勝ったら敗者から勝利を讃えられる」
「それでいこう」
「わかったわ」
女性も頷いてだった。
こうしてだった。
三人で泳ぎだした、クライゼンもビーンズも速いことは確かだったが。
女性の速さは極めつけだった、二人をどんどん引き離す、クライゼンは平泳ぎをしながらそのうえで言った。
「おい、速過ぎるぞ」
「そうだな」
ビーンズも驚いて言った。
「俺達水泳には自信があるけどな」
「それどころじゃないぞ」
「何だあの人」
「まさか人魚じゃないよな」
こう話した、そして圧倒的にだった。
二人は負けて小島に着いた、そして小島の岸辺に上がって立っている女性に対して言うのだった。見れば青地に城の競泳水着姿である。
「人魚と思ったよ」
「本当にな」
「あまりにも速いからな」
「けれど足はあるな」
「この通りね、実は私シドニーから来たの」
女性は笑顔で話した。
「ディジー=スコッティ、大学生で水泳の選手よ」
「おいおい、選手か」
「道理で速い筈だ」
二人もそう聞いて頷いた。
「俺達とは違うな」
「格がな」
「今度オリンピックに出るのよ」
スコッティは笑ってこうも言った。
「それで今は旅行でマイアミに来てるけれど」
「旅行の時も泳ぐか」
「こりゃ本物だな」
「ついつい泳ぎたくなって」
それでというのだ。
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