ファントムポリス
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第二章
「それでもです」
「何かありますか」
「はい、貴方は今この交番におられる方ではないのでは」
「こんな人署にいたかな」
本多も彼の顔を見て真剣に首を捻った。
「見たところ定年前位にしてもこの年代でこの顔の人は」
「ああ、私ですが」
謎の警官は本気でいぶかしむ二人に笑顔で答えた。
「実は三年前に亡くなっていまして、八十歳で」
「八十歳!?」
「では定年は六十なので」
「二十三年前に」
この時にというのだ。
「定年でした」
「私はこの署に来て十五年」
本多はその年数を話した。
「ですからその頃は」
「ご存知ないですね」
「そうです」
四日市に真面目な顔で答えた。
「とても」
「そうなのですね」
「それでお名前は」
「福岡覚といいまして」
そのまま名乗った。
「家は摂津にあります」
「摂津市ですか」
「はい」
そうだというのだ。
「今も息子夫婦がいます」
「そうなのですね」
「ですが妻も先立ち」
そうしてというのだ。
「私はこうしてです」
「交番におられますか」
「実は長い間ここにいまして」
この交番にというのだ。
「勤務していて愛着があるので」
「今はですか」
「はい、死んでから」
それからというのだ。
「幽霊になって」
「勤務しておられるのですね」
「そうです、ですから」
福岡は笑ってこうも言った。
「私の身体をよくご覧になって下さい」
「少し」
本多は言われた通り彼を見て言った。
「透けていますね」
「左様ですね」
「幽霊だからですね」
「魂だけで身体がないので」
だからだというのだ。
「この通りです」
「透けていますね」
「少しですが」
それでもというのだ。
「左様です」
「そうなのですね」
「そして」
さらに話した。
「暫く。あちらの世界に行くまで」
「こちらで、ですか」
「いさせてもらいたいです」
「そうですね、幽霊は私の管轄ではないです」
四日市は福岡に今の署長として答えた。
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