好色一代男は死なず
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第四章
「そうなってるわ」
「その通りやな」
「そしてや」
そのうえでというのだ。
「これからやな」
「遊ぶな」
「大坂のおなごとやな」
「そや」
まさにというのだ。
「思う存分遊ぶわ」
「そうするな」
「久し振りにな」
「あっちで思う存分遊んでもやな」
「大坂に帰るとな」
そうすればというのだ。
「その時はな」
「大坂のおなごか」
「そや」
まさにというのだ。
「そうなるわ」
「自然とやな」
「わしにとってはな」
「そやな、しかし」
「しかし?」
「人の話って分からんな」
助平はこんなことを言った。
「自分がおなごで死ぬとかな」
「そんな話になることがか」
「そや」
まさにというのだ。
「どっかで出たと思うが」
「それがやな」
「ほんまな」
何と言ってもというのだ。
「わからんな」
「わしはこの通り生きてるけどな」
「遊び続けてな」
「わしも聞いて何でやって思った」
世之介自身もというのだ。
「生きてるってな」
「思ったな」
「ああ、噂や話はな」
「わからんな」
「どんな話が出るかな」
それがというのだ。
「全くな」
「わからんな」
「そしてそれが定着して」
そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「ほんまの話になるな」
「自分が遊び過ぎで死んだって話もな」
「わからんな」
「あれや、岸和田ではな」
助平はこんな話もした。
「羽柴様がな」
「ああ、逃げられたそうやな」
「この話聞いてるやろ」
「右大臣様は薩摩に逃げられて」
「真田様と一緒にな」
「息子様はあっちに匿われて」
「分家されてるわ」
助平はさらに話した。
「木下様の分家様は」
「実は羽柴様や」
「そんな噂あるな」
「その噂は」
どうかとだ、世之介は話した。
「どうもな」
「ほんまか」
「島でもその話聞いたが」
「ほんまの話か」
「どうもな」
これがというのだ。
「そやからな」
「それでか」
「ああ、ほんまな」
まさにというのだ。
「嘘やなくてな」
「ほんまの話か」
「そや」
「そうなんか」
「どうも公方様もな」
「江戸のか」
「知っておられてな」
そうであってというのだ。
「もう滅んだってしたから」
「そやからか」
「知っておってもな」
それでもというのだ。
「知らぬふりしてはるらしいわ」
「そやねんな」
「そう聞いてるわ」
そうだというのだ。
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