だからってなんだよー 私は負けない
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それから、しばらくすると相続したことが、皆に広まったのか、合う人に嫌味ぽく言われるような気がしていた。お母さんなんて、もっと陰でも言われているのだろう。
今日も、篠田さんとこに荷物を受け取りに行って、荷造りして預けようとしていると、向こうの奥さんに
「紗栄子さんも 忙しいでしょ? 相続するって大変なんでしょう 色んなことがあってー でも 人生変わるんじゃぁないの? ウチの工場のほうの土地の大家さんになるんだものねー 普通の従業員じゃあ済まないわ」とか、私には、嫌味にしか聞こえなかった。
確かに、手続きとかが大変で、信用組合の人に税理士さんなんかも紹介されて、お母さんは大変そうなのだ。私は、何にもわからないので、任せっきりなんだけども・・・
それに、クリスマスに年末を迎えて、私のほうも大忙しなのだ。加えて、新規のホテルの方からも大量に注文を受けて居た。貫次と他の2人以外に洗浄するのでしずゑ婆ちゃんの応援も貰っていたのだ。そして、冬休みになると26日から29日まで、毎日荷物を送っていた。年末の分と年始の分。年末は荷物が届かない可能性があるので、早い目に出していたのだ。先生も特別に1日だけ手伝いに来てくれていた。ご褒美だと私には意味無いことを言っていた。
だけど、私は、2学期末のテストで高井勝秀を抜いて、クラスのトップになっていた。そして、数学は志津川ひかると並んで100点だって、先生からは、褒められていて、私は ご褒美のキスは・・・と思ったのだけど、当然 そんなことは先生はお構い無しだった。私は、必死で頑張ったつもりだったのだけど、先生には、そんなのは当たり前の結果だと言わんばかりの調子だったのだ。
だけど、30日の日 先生が突然訪ねて来て
「すぐり 居たか あのな 夕方 実家に帰ろうかと思ってー」
「ふ~ん 私を置いて帰るんだぁー」
「なんだよー 置いてなんて・・・」
「だってさー 先生と私は 赤い糸で繋がってるんだよー それを・・・」
「あのさー 赤い糸ってなんだよー どこにあるんだい? 見せてみろよー」
「だからー それは見えない糸なの!」
「そんな いい加減なー」
「いい加減じゃぁないよ! じゃぁ 先生は何で 用事も無いのに 帰るって言いにきたのよ!」
「いや それは・・・ とりあえず・・・ 言っておこうと・・・」
「それが、見えない赤い糸なの! 私、勉強 頑張ったつもりよ! 先生に褒めてもらいたいからー 言葉だけじゃぁなくて・・・ でも 無理よね 生徒と先生だものー 先生にも立場あるもんねー 私の思ってることなんて 無理よねー・・・いいのよ お母さん達も先生が帰ってくるのを楽しみにしてらっしゃるんですものねー 元気なお顔を見せて来てー」
「すぐり・・・ 君は・・・可愛くて 良い子だ」と、抱きしめてくれるだけだった。でも、それだけで 私は・・・幸せ その瞬間は、少なくとも 先生を独り占めしてたんだものー
年末になって、お母さんが
「ねぇ すぐり このお家にもっとシンクタンクとかおいて、すぐりの・・・洗い場広げたらどうかしら・・・私達は旦那様のおうちに引っ越してね お母さんはね 二人のお仏壇を見守っていこうと思ってるの だから、あそこで・・・」
「そう お母さんがそー言うんだったら 私は構わないよ 確かに、洗い場も狭いと思ってた」
「じやぁさー 年が明けて49日が済んだら、納骨して、お仏壇を奥の部屋に移して、あっちに住むようにしましょ! それと、この家の改装よねー この座敷も改装して、事務所も兼ねるようにした方がいいんでしょ?」
「うん まぁーそーなんだけどー ・・・なんとかなってるしなー・・・」
「だって やりやすい方がいいじゃぁない? でないと 新しい取引先もできないよ! それか 駅前の土地 あそこ なんとかしようか? プレハブあのまんまだし・・・繋げて大きくすればね!」
私は、お母さんの言うことに押されていて、どうすれば良いのか判断出来なかった。それにお金もかかることだし・・・。
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