金木犀の許嫁
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第五十八話 真昼のお見合いその四
「それじゃあ」
「こうしてお話をした後は」
「お食事ですね」
「お互いの両親を含めて」
「実は」
ここで真昼は幸雄にこんなことを言った。
「お父さんここのお料理好きで」
「そうなのですか」
「そうはいけないですが」
それでもというのだ。
「今回は滅多に行けないということで」
「お好きでも」
「楽しみにしています」
「うちもです、父も母も好きで」
「それで、ですか」
「楽しみにしていまして」
それでというのだ。
「これからです」
「楽しくですね」
「飲んで食べましょう」
「わかりました、皆で」
「そうしましょう」
「それでは」
「この梅田には河久というお店もありまして」
「ホテルの料亭ですね」
真昼もその店のことは聞いていた。
「確か」
「それで梅田にもありまして」
「美味しいんですね」
「高いですが」
それでもというのだ。
「評判だけはあり」
「そうですか」
「昔はCMもありました」
「そうなんですか」
「プロ野球の監督だった人が出ておられ」
西本幸雄である、和歌山出身で大毎、阪急、近鉄の三つのチームを優勝させた名将として知られている。
「宣伝していました」
「そうだったんですね」
「その河久も好きでして」
幸雄はというのだ。
「このお店もです」
「お好きですか」
「はい」
そうだというのだ。
「今から楽しみです」
「そうなんですね」
「お互いの一家で」
知った者同士でというのだ。
「仲よくです」
「美味しいご馳走をですね」
「楽しみましょう」
「それじゃあ」
「そして今は」
「こうしてですね」
「お話をしましょう」
二人でというのだ。
「そうしましょう」
「はい、じっくりと」
「お食事の時間まで」
こう話してだった。
二人で抹茶を飲みつつ話した、そしてだった。
会食の場となったがここで幸雄の両親が言ってきた。
「どうだったかな、二人での時間は」
「よかったかしら」
「お互い知った仲だしな」
「大丈夫だと思うけれど」
「大丈夫だよ」
幸雄は両親に微笑んで答えた。
「穏やかね」
「お話が出来たか」
「そうなのね」
「そうだったよ」
「幸雄さんとは一緒に暮らしていまして」
真昼も話した。
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