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金木犀の許嫁

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第五十八話 真昼のお見合いその二

「ほぼね」
「安心していいのね」
「ええ、本当にね」
 娘に微笑んで話した。
「お家の時代じゃないって言われていても」
「あるお家にはあって」
「うちがそうだから」
 それでというのだ。
「ちゃんとね」
「お家を継がないといけないわね」
「ええ、だからね」
「私が幸雄さんと結婚して」
「お家を継いでくれたらね」
「いいのね」
「真昼は長女だから」
 母は娘に話した。
「やっぱりね」
「お家を継ぐわね」
「お婿さんを貰ってね」
 そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「お家を続けていくのね」
「宜しくね、それじゃあね」
「梅田に行って」
「お見合いよ」
「わかったわ」
 真昼は母の言葉に頷き父が運転する車でその料亭に行った、そうしてその料亭で幸雄と会うとだった。
 彼は背広姿だった、その姿で真昼に言ってきた。
「お願いします」
「はい、今日は」
 真昼も応えた。
「こちらこそ」
「お互い知っていますが」
「それでもですね」
「畏まりますね」
「そうですか?私は結構です」
 真昼は幸雄を見上げて微笑んで話した。
「いつも通りです」
「そうですか」
「別にです」 
 これといってというのだ。
「緊張していません」
「そうなのですね」
「失礼のない様に」
「気を付けておられて」
「それでもです」
「緊張されていませんか」
「そのつもりです」
「お互い知っているからですね」
 幸雄は真昼がそうである理由を察した。
「だからですね」
「そのことが大きいと思います」
「私の両親も」
「何度もお会いしてお話していますし」
「そうですね、私もです」
 幸雄もそれならと応えた。
「過度に緊張せずに」
「リラックスしてですね」
「そうしてです」
 そのうえでというのだ。
「お見合いに入らせてもらいます」
「そうしましょう」
「おそらくです」 
 幸雄はさらに話した。
「この度のお見合いで」
「私達は婚約しますね」
「許嫁同士になります」
 そうなるというのだ。
「そうなります」
「そうですよね」
「相当なことがないと」
「お互い知った間柄で」
「しかも既にです」
 お見合いをはじまる前だがというのだ。 
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