金木犀の許嫁
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第五十八話 真昼のお見合いその一
第五十八話 真昼のお見合い
お見合いの話は進み遂にその日になった、真昼は大阪の実家に戻って赤と白の梅の花の模様がある振り袖姿になった。
「着物なのね」
「ああ、お見合いだからな」
「そちらよ」
両親が娘に答えた。
「それで今からね」
「梅田の料亭に行くからな」
「そしてそこでね」
「幸雄さんとお会いするんだ」
「そうするのね、何かね」
真昼は両親に神妙は顔になって話した。
「夢みたいよ」
「夢みたいってわかってたでしょ」
母は真昼に何を今更という顔で述べた。
「もうね」
「お見合いするってことは」
「夜空ちゃんもお見合いしたし」
「佐京君とね」
「それでその時にね」
「いづれ私もってね」
「言ってたでしょ」
「そうだけれど実際にやるとなると」
その時に自分がとだ、真昼は言葉を返した。
「そう思うわ」
「そうなのね」
「ええ、けれどよね」
「今から実際にだぞ」
父も言ってきた。
「幸雄さんとな、ただ幸雄さんはお互い知ってる間柄だからな」
「お見合いは堅苦しくなくて」
「もう失敗もな」
「しないわね」
「だから安心してだ」
そうしてというのだ。
「料亭に行けばいいんだ」
「そうよね」
「あちらの。真田家のご当主も来られるからな」
自分達から見れば主家だったその家のというのだ。
「奥様と共にな」
「礼儀作法はちゃんとしないとね」
「ああ、しかしな」
それでもというのだ。
「お互い知ってるからな」
「畏まらないで」
「それでお見合いをすればいい」
そうだというのだ。
「本当にな」
「別に畏まらないで」
「ああ、そしてな」
そのうえでというのだ。
「許嫁になることは嫌か」
「いえ」
真昼は父に即座に答えた。
「幸雄さんならね」
「信用出来るわ」
「とてもいい人だから」
「幸雄さんもそう言ってるしな」
「それじゃあ」
「お見合いが終わったらな」
それならというのだ。
「もうな」
「その後は」
「婚約するぞ」
「そうなるのね」
「そして結婚出来る様になったら」
お互いにというのだ。
「結婚してくれ」
「それじゃあね」
「幸雄さんが婿入りすることになってるから」
母は今度はこちらの話をした。
「だからね」
「お家のこともよね」
「決まってるから」
だからだというのだ。
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