戦死と共に
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第三章
「聞いたけど一説にはな」
「一説か」
「ソ連軍にいたよな」
このことを言うのだった。
「そうだよな」
「ああ、本当らしいな」
ベンシチーはこう答えた。
「そのことは」
「本当か」
「今の北朝鮮に生まれて強盗みたいなことをしていて」
当時朝鮮半島を併合していた日本に抵抗していたというのは嘘であることはどうやら事実であるらしい。
「日本軍に追い立てられてな」
「それでか」
「ああ、そしてな」
そのうえでというのだ。
「ソ連に逃げ込んで」
「ソ連軍で戦ったか」
「スターリングラードの戦いにも参加していたらしいな」
二次大戦最大の激戦地であった、実に多くの犠牲が出た。
「それでソ連軍の中尉としてな」
「士官になったか」
「日本が負けて」
二次大戦の結果であることは言うまでもない。
「朝鮮半島に北朝鮮が出来てな」
「韓国とな」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「北朝鮮のトップにだよ」
「なったか」
「スターリンがこいつだってな」
そう考えてというのだ。
「あそこの朝鮮族それにソ連軍から選んだんだよ」
「結構いい加減な理由だな」
「他には元々ソ連で生まれたって話もあるな」
ベンシチーはこの説も出した。
「朝鮮半島じゃなくてな」
「ソ連の朝鮮族か」
「今でもロシアにいるだろ、朝鮮族」
「らしいな、アジアの端っこの方に」
コラシェンコもこのことは知っていた。
「中国にも日本にもいて」
「日本は難民で入ったけれどな」
「そうなのか」
「朝鮮戦争でな、俺の祖国にも移民してきてるよ」
ベンシチーはこうも話した。
「アメリカにもな」
「韓国系アメリカ人か」
「結構世界中に移住してるだろ」
「そういえば俺の国にもいるか」
コラシェンコも思い当たるものがあった。
「ポーランドにもな」
「世界に移住もしてるしな」
「そうなんだな、それでな」
ベンシチーにあらためて話した。
「国家元首はソ連軍にいたな」
「今話した通りな」
「今の将軍様の親父さんはソ連生まれでな」
白頭山生まれという北朝鮮の喧伝は嘘である。
「元々あっちの名前だったんだよ」
「そうだったのか」
「ああ、それでな」
そうであってというのだ。
「ソ連と縁が深いんだよ」
「それで援軍も送ってきてるんだな」
「中国とつながってる様でな」
その実はというのだ。
「ロシア系の国なんだよ」
「そうなんだな、けれどそれでな」
ベンシチーにあらためて話した。
「何で寒さに弱いんだ」
「何の対策も立てていないか」
「まさかわかっていてもか」
「そうぢよ、だから何もないって言ってるだろ」
北朝鮮にはとだ、ベンシチ―は話した。
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