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戦死と共に

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第二章

 寝袋に入った、そのうえで防寒がしっかりしたテントの中で寝てだった、そのうえで戦っていきその中でだ。
 北朝鮮軍の野営地だった場所を攻めて敵軍を倒した、すると。
「あれっ、これは」
「ああ、寝ている間にな」
 ベンシチーはコラシェンコに話した。
「そのままな」
「凍死してるな」
「今は冬だ」
 季節はというのだ。
「寒い、ましてやだ」
「ここはウクライナだからな」
「ロシアと同じでな」
「寒いな」
「冬将軍だろ」
 コラシェンコにこれも出した。
「そうだろ」
「ああ、この国の冬はな」
「その冬将軍にな」
「やられたんだな」
「何もないって言ったな」
「北朝鮮軍はか」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「防寒具も防寒着もな」
「ないんだな」
「食いものがないならな」
 そうした状況ならというのだ。
「それこそな」
「他のものもないな」
「だからな」 
 それでというのだ。
「本当にな」
「冬への対策もないんだな」
「だからどんどんだよ」
「戦う前にか」
「凍死していってるんだよ」
 北朝鮮の将兵達はというのだ。
「そうなんだよ」
「そういうことだな」
「だからな」
 それでというのだ。
「俺も言ったんだ」
「ものの数じゃないか」
「信じられないだろ」
「今二十一世紀だぞ」
 真剣な顔でだ、コラシェンコはベンシチーに言葉を返した。
「もうな」
「そうだよな」
「ドローン飛んでるな」
「そんな時代だな」
「そんな時代でな」
「防寒着も防寒具もないなんてな」
「それで戦争するとかな」
 それこそというのだ。
「有り得ないだろ」
「けれどこれが現実でな」
 ベンシチーは凍死し転がっている北朝鮮軍の将兵達を見て話す、見れば彼等の着ている服は冬のウクライナには場違いのものだ。
「大昔の考えのままなんだよ」
「おい、確かな」 
 コラシェンコはベンシチーに怪訝な顔でまた言葉を返した。
「あそこの国家元首ってな」
「世襲の独裁者だな」
「共産主義だってのにな」
「有り得ないな」
「ああ、その有り得ない国家元首だけれどな」
 将軍様と言われる人物はというのだ。 
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