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金木犀の許嫁

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第五十七話 お見合いの前にその四

「批判していました、そして実際にです」
「同性愛者は死刑でしたね」
「牢獄にも入れられました」
「オスカー=ワイルドさんもそうで」
「兎角です」
 キリスト教圏ではだ、流石に今はそうではないが。
「殺人の様な悪行とです」
「思われていましたね」
「ですが日本では何が罪なのか」
「至って普通でしたね」
「織田信長さんが有名ですし」
「武田信玄さんや上杉謙信さんもで」
「戦国時代だけでなく」
「江戸時代や平安時代でもですね」
「普通であって」 
 そうであってというのだ。
「何もです」
「問題ないですね」
「キリスト教の欧州でもです」
 同性愛が重罪となっていたこの地域でもというのだ。
「かつてはです」
「普通でしたね」
「欧州文明の源流の一つはギリシアですね」
「古代ギリシアですね」
「都市国家の」 
 アテネやスパルタで有名なというのだ、古代ギリシアは間違いなく今も欧州の中に根付いているのだ。
「あのギリシアでもです」
「同性愛は普通でしたね」
「そうでした」
「神話でも出て来ますね」
 真昼はこのことを話した。
「そういえば」
「そうですね」
「はい、至ってです」 
 幸雄にさらに話した。
「普通でした」
「むしろ同性愛の方は貴ばれていました」
 これは古代ギリシアが極端な男尊女卑の社会だったことも影響している、女性と交際するよりもというのだ。
「そうでしたし」
「同性愛については」
「むしろです」
「否定する方がおかしいですね」
「そうです」
 まさにというのだ。
「ですから真昼さんもです」
「女性とお付き合いしてもいいですか」
「男性は男性、女性は女性です」
 幸雄は言い切った。
「またです」
「別ですね」
「そうです」
 こう言うのだった。
「ですから」
「気にしないで」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「結婚したなら」
「一緒にですね」
「暮らしていきましょう、そしてまずは」
「お見合いですね」
「宜しくお願いします」
「こちらこそ」
 二人で微笑んで話した、二人の話はこれで終わった。そして。
 真昼は話が終わってから夜空の部屋に行ってその話のことを説明するとだ、夜空は真昼にこう返した。
「何かお見合いは通過儀礼ね」
「私達にとっては?」
「お話聞いてね」
 真昼の今のそれをというのだ。 
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