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金木犀の許嫁

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第五十七話 お見合いの前にその三

「幸雄さんは信頼出来ますし」
「だからですか」
「浮気はされないですし暴力も振るわれないですね」
「どちらも最低の好意の一つと考えています」
「それにギャンブルもされないですね」
「お酒は飲みますが」
 しかしとだ、幸雄は答えた。
「ですが」
「それでもですね」
「暴れた記憶はありません」
「酔われても変わらないですね」
「自分でもそうだと思います、いい人だとです」
 その様にというのだ。
「確かに」
「そうですか、私も真昼さんはそうした人だと思っています」
「浮気をしなくて無駄遣いもですか」
「はい、ですが男性だけでなく女性もお好きと見受けますが」
「そうですね」 
 真昼は否定せずに答えた。
「実は」
「女性もお好きですか」
「嫌いではないです」
 同性愛もというのだ。
「誰にも言っていませんが」
「それは構いません」
「いいですか」
「私も同性愛は否定しませんし」
 それにとだ、幸雄はさらに話した。
「私自身も女性だけでなく」
「男性もですか」
「嫌いではないですし」
「だから同性愛は否定されないですか」
「同性愛には何も言いません」
「私が女の子と浮気しても」
「男性が私だけなら」
 それならというのだ。
「構いません」
「同性愛はいいですか。そう言われますと」
 どうかとだ、真昼は幸雄に言葉を返した。
「私も幸雄さんが男性とお付き合いしましても」
「構いませんか」
「女性が私だけなら」
 それならというのだ。
「全くです」
「いいですか」
「同性愛は。ただ私が同性愛もいいということは」
「何となくわかりました」
 そうだったというのだ。
「白華さんへの接し方を見て」
「そうだったんですね」
「しかし我が国は元々同性愛に対して寛容ですね」
「そこはキリスト教と違いますね」
「キリスト教ですと」
 この宗教の世界ならというのだ。
「とんでもない悪事になりますね」
「そうです、恐ろしい悪徳とです」
「定められていまして」
 真昼に話した。
「フランシスコ=ザビエルさんも言っていました」
「日本に来て同性愛が普通であることに驚いて」
「声高に批判していました」
 それを自分を庇護している大内義隆に言っていたのだ、だがその義隆は家臣の陶晴賢を愛人にしていたのだ。
「それこそ人が決して行ってはならない」
「悪徳の所業ですね」
「そう言ってです」
 そうしてというのだ。 
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