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夢幻水滸伝

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第三百八十四話 穏やかな少女その一

                第三百八十四話  穏やかな少女
 チェチーリアはこの世界に来て声から全てを聞いた、そのうえで目を開くと目の前は市街地であり。
 多くの人々が行き交っていた、それでまずは人間の通行人にこの街のことを聞いたが。
「ああ、サンタアナですか」
「そうだよ、しかしあんた見ない顔だな」
 インディオの顔の通行人は彼女にこう返した。
「急に出て来たな」
「そうですね、今来たばかりで」
「サンタアナにかい?」
「そうなります」
 こう答えた。
「言うなら」
「そうなのかい、旅人か冒険者か」
「歌人です」
 職業を述べた。
「あーしは」
「じゃあ詩を詠うなら歌を歌ったらどうだい?」 
 通行人はそれならと答えた。
「道でな」
「それでお金を貰うんですね」
「バードがやることだが歌人も出来るだろ」
「そうですね」 
 チェチーリアも否定しなかった。
「こっちの世界やと」
「こっち?変なこと言う小人の姉ちゃんだな」
「そうですか」
「見たらレベルとんでもなく高いな、まさかな」 
 通行人は笑ってこんなことを言った。
「星の人だったりしてな」
「実は」
 チェチーリアは素直に答えた。
「そうなんですけれど」
「えっ、嘘だろ」
「いえ、本当に」
「うわ、確かにな」
 通行人はステータスだけでなく特技も見てわかった。
「これだけ能力が高いってな」
「そこからわかりますか」
「これはご無礼を」
 通行人はまずは謝罪した。
「星の方とは知らず」
「いや、別にあーし起きた世界では普通の高校生でして」
「こちらの世界では星の方です」
 こう返すのだった。
「ですから」
「許してくれますか」
「許すも何も」
 それこそというのだった。
「そんなことはです」
「いいのですか」
「別に」
 おっとりとした口調で答えた。
「気にせんで下さい」
「そう言ってくれて何よりです、実はわし居酒屋をやってまして」
 通行人はチェチーリアに許してもらうと自分のことを話しはじめた。
「今専属の歌手を探してました」
「歌手ですか」
「どうでしょうか」
 チェチーリアに頼み込んだ。
「歌手兼用心棒に」
「あーしが用心棒ですか、喧嘩嫌いで歌人で小人ですと」
「いえ、レベルが高いので」
 だからだとだ、通行人あらため居酒屋の親父は答えた。
「充分です」
「用心棒もできますか」
「レベルが高いと」
 それならというのだ。
「それだけステータスも高く力や技、素早さもです」
「高くて、ですか」
「貴女ですと」
 チェチーリアのレベルの小人の歌人ならというのだ。 
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