金木犀の許嫁
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第五十六話 真昼の許嫁その四
「それで一緒に暮らして」
「ご本家でなくてもね」
「ええ」
そうしたことを抜いてもというのだ。
「佐京君がどんなお家の子でもね」
「いいわね」
「お姉ちゃんが言う通り性格がいいから」
佐京、彼はというのだ。
「本当にね」
「そうでしょ、性格はね」
「大事よね」
「幸雄さんもとてもいい人だし」
彼もというのだ。
「一緒に暮らしていてね」
「わかるわね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「私もね」
「安心してお見合い出来て」
「許嫁にもね」
「なれるわね」
「ええ」
そうだというのだ。
「私もね」
「そうよね」
「ええ、例え世界一のお金持ちで」
そうであってというのだ。
「それこそ八条グループ以上のね」
「そんな人もいるわね」
「それで世界を動かせる様な権力を持っていても」
「性格が悪かったら駄目ね」
「結婚したらね、例えそんな人で」
世界一の金持ちで世界を動かせるだけの権力を持とうともというのだ。
「モラルがなくて悪知恵だけ働いて尊大で思いやりがなくて底意地が悪くて自分以外の人を見下し馬鹿にする人だったらどうかしら」
「絶対に結婚したくないし」
夜空は顔を曇らせて答えた。
「それにね」
「すぐに失脚するでしょ」
「そんな人はね」
「小悪党よ」
そうした輩はというのだ。
「もう私利私欲しかない」
「そんな人よね」
「だからそれだけのお金と権力があっても」
「実は小さいのね」
「それでね」
そうであってというのだ。
「小悪党って自分しかないから」
「私利私欲を貪って」
「誰かの為に何かしようとしないで」
「自分の為にだけ動いて」
「他の人は利用するだけで」
「いざとなれば捨てるわね」
「そんな人なんてね」
それこそというのだ。
「人望もないから」
「ある筈がないわね」
「だからすぐにね」
「失脚するわね」
「まさに真っ逆さまに落ちて」
そうなってというのだ。
「世界一のお金持ちからね」
「一文なし?」
「そうもなって権力もね」
世界を動かすだけのそれもというのだ。
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