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金木犀の許嫁

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第五十六話 真昼の許嫁その三

「お金があっても」
「悪い人だったらね」
「そうしたものってすぐになるなるでしょ」
「家柄なんてどうでもいいしね」
「そう、まずはそれはそれでよくなって」 
 妹の言葉に応えて述べた。
「お金もね」
「変な人だとあっという間になくなるわね」
「それで権力があっても」
 真昼はこちらのことも話した。
「変な人だとね」
「失脚するわね」
「それこそ昔話みたいにね」
「ああ、よくあるわね」
 実際でもよくあることだ、平家物語はそうした意味でも非常に学ぶところが多い文学史上の名作であるのだ。
「そうしたことも」
「そうでしょ、だからね」
「変な人とはなのね」
「絶対にね」
「結婚しないことね」
「本当に権力やお金は」 
 そうしたものはというのだ。
「全くね」
「意に介さないことね」
「そう、それで判断しないことよ」
「そうよね」
 夜空も確かにと頷いた。
「私もそう思うわ」
「でしょ?夜空ちゃんもわかってるでしょ」
「幾ら力があってもね」
 夜空もそれだけではと返した。
「性格が悪かったら」
「意味ないでしょ」
「嫌いな人と一緒にいるなんて」
「それもずっとね」
「無理よ」
 姉にきっぱりと答えた。
「私はね」
「私だってそうよ、そもそも腐った人がお金や権力持ってもね」
「失脚するわね」
「性格が悪いと嫌われるでしょ」
「勿論ね」
 即座にだ、夜空は答えた。
「周りからも」
「そうでしょ、それで何かあったら周りからね」
「失脚させられるのね」
「そうなるわよ、そうでなくても失敗して」
「そこから落ちるわね」
「特に天狗になっていたら」
 その時はというと。
「先は短いわ」
「すぐに失脚するのね」
「そうなるから」
 だからだというのだ。
「絶対にね」
「結婚しないことね」
「近寄ることもね」
 それもというのだ。
「駄目よ」
「そうなのね」
「だからね」
 それでというのだ。
「結婚は性格を見るのよ」
「その人の」
「それが大事よ」
 そうだというのだ。
「何と言ってもね」
「性格ね」
「佐京君は物凄くいい子だから」
「許嫁でよかったわ」
 夜空は微笑んで話した。 
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