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だからってなんだよー 私は負けない

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3-6-3

  客席に案内されて、店内には、まだ5.6組のお客さんが居た。平日なのに家族連れが多いのだ。私達は若い女の人に窓際のまあるいテーブルに案内されて 「いらっしゃいませ ようこそ ナカミチへ」と、まず飲み物を聞かれたが、先生はすかさずビールと炭酸抜きの蜂蜜ジュースというものを頼んでいた。それは、蜂蜜がベースなんだろうけど、少し柑橘の香りがした。それに、出窓の所には、私が送ったのであろう木の実とか葉っぱがふんだんに飾られていた。そして、テーブルの隅にも小さなガラスの花瓶にヒバとグミの赤い実が・・・

 そして、若い女の人と少し年配の女の人がお料理を運んできた。ホールの人は4人とそれ以外に清音さん。黒いキャスケットに上から下まで黒で赤いエプロンに胸にナカミチの文字が金色の刺繍。清音さんだけは腰だけのエプロン姿でキャッシヤーとかをやっている様子だった。

 置かれた楕円の真っ白なお皿には、左上にポテトサラダみたいなもの ハートマークの形になっている。白とややオレンジ色の二つ。そして、その下には椿の葉が敷かれていた。メインにはミートローフが2切れ 端にはクリームソースみたいなもの。そして、右上にはヒバを敷いて、椎茸を半分にして、片側に海老と卵のクリームソースで和えたものを傘の部分に乗せて被せるようにもう半分を。右下には、バショウを山形にまあるく切って、その上に半円球のちりめん山椒のご飯と炊き込みご飯。そして、別にガラスのお皿に赤いグミの実とかヤブランの黒い実と共にひかげかずら その上にガラスのボールに野菜サラダがあった。私には、こんなお料理らしいものを眼の前にするのは初めてなのだ。フォークはともかくナイフなんてものを食卓で使ったことは無かったので、横の先生のまねをして食べていたのだ。

 私の送ったものが、お皿の上に使われているのだ。お料理を引き立てているのだとと、私はワクワクしてきていて、いただき出したのだ。最初に、椎茸を・・・直火で焼いてあるみたい 少し香ばしくて、しっとりと・・・そして、海老、卵を和えて乗せてある方も すごく、椎茸の風味と海老の味が・・・バターの風味も。ミートローフも脇のソースもクリームチーズ仕立てなのだ。ハート型のポテトサラダは片方はニンジンが練り込んであったのだ。野菜サラダには白木くらげを使っていてくれた。

 ほぼ 食べ終わった時、武さんが現れて、ボール状のお皿を二つ持っていて

「これは、別注文で 白木くらげと卵のバターライス お召し上がれ」と

「うわー もう お腹 いっぱいだよー すぐり 食べられるか?」

「はい! 私 いただきます!」と・・・「わぁー この プチプチの食感でひらひらがきれい それに卵のふんわりしたとこ おいしぃ~」

「うん なかなかの食レポだね 今夜のは [愛の山への誘い] 少し手直しをして9月からの新メニューにしようと思っているんだ」

「へぇー [愛の山への誘い] ・・・いいねぇー 誘われたくなるネーミングだよ 武叔父さんも いろいろ考えてくれてありがとう」

「ありがとうございます 感激です」と、私も一緒にお礼を言っていた。その時、オーナーがテーブルにやってきて

「店長を呼んでちょうだい」と、女の子に言っていて、清音さんが来ると

「あなたも 聞いてちょうだい ここに座ってー」と、もう、お客様も1組とカウンターにも1人になっていた。

「すぐりさん どうでしたか? 新しいメニューの感想は?」

「私には、初めてなものばっかりで・・・お味もそうでしたけど、色んなものがあって見ていても食べていても楽しかったです。山に誘われているよう・・・お腹 一杯になりました」

「そう 楽しかったのなら 良かったぁー 私もね さっき チラッと見たんだけど 楽しそうなのよねー チーフ これ 幾らでお出しするつもり?」

「そーですね ちゃんと原価計算してないですけどー 1200円かなー」

「ダメよー 1000円に持って行きなさい! それと、カップでいいからスープも付けてね! それと、あんなに薄いんじゃぁ ポテトサラダ食べてる感じしないわ もっと厚くしなさいよー ミートローフは1切れを半分に切って2切れにすればいいじゃぁない すぐりさんにはボリュームありすぎたみたいよ ねぇ どう?」と、オーナーは私の意見を聞いてきたみたいで

「そーですね 確かに、ミートローフが多すぎて 他のもののお味も楽しめなかったかも・・・」

「ねっ 女性には重すぎるのよー 男性は足らなければ その バターライスを追加すればいいじゃぁない?」と、先生の残しているものを口に含んで・・・

「ふ~ん ・・・清音も食べてみて」と、そのお皿を差し出して

「どう? ちょっと バターが勝ちすぎてない? もう少し、あっさりした方がいいと思わない? コスト面からも・・・」

「そうね ステーキとかミートローフとだと その方が良いのかもね お姉ちゃん 値段のことだけど・・・材料費も上がっているし、メニュー値段の見直しも・・・」

「ダメ! 清音 何のためにこのお店やっているのよ? お客様に喜んで来てもらうためでしょ 今までも、支えられてきたのよ! これからも」

「そーだけど・・・」

「そーなの! それと ランチ用に 600円のものも考えてよ お昼時はお年寄りも大勢来てくださるんだからー もちろん、サラリーマンの人にもネ お小遣いも厳しいんだからー」

「あっ はぁー 600円・・・」と、チーフは考え込んでしまっていた。そうしている間にも、男女のカップルが来店してステーキを二人で頼んでいて、その以外にも家族連れが「いつも すみませーん」と、席に案内されていたのだ。もう、遅い時間なのに・・・

「すぐりちゃん 明日 ウチ チーフと2時頃来るから ビジネスのお話 お昼も食べて待っててちょうだいよね いいかしら?」私は、待ってますと言うしか無かったのだ。

 おうちの方に戻ると、ダイニングのテーブルで男の人が、グラタンとビールを飲んでいた。

「僕の親父だ。お父さん、こちら 愛崎すぐりさん 今、向こうで新メニューというものを食べさせてもらってきたんだ」

「あぁ そうか 耀の父です 耀に言われて、新しいことを始めたんだってな でも、中学生でたいしたもんだよー 四国のほうでも、お年寄りが集まって、年商何憶っいうからな 今からでも、伸びる可能性はあるよ 楽しみだなぁー」

「お父さんが楽しみにしてもねぇー 耀だって 学校の先生なんだからー 商売とは・・・」と、オーナーが

「だからー こーやって 生徒の成長を楽しみにしてるんだよ」

「なるほど そーいうこともあるのかー」

 すぐりちゃん 先に お風呂に入りなさいと言われて、お風呂場に行って、脱いだ時に改めて気がついたのだ。私、今日はお母さんから・・・濃い黄色で腰のゴムの部分にレースのお花が全体にあって前も小さな布切れに縁がフリルになっているもの・・・(いい? 見せる為じゃぁなくて、これを付けて 自分は大人なんだと自覚するためよ! お仕事お話なんだから 大人として対応してきなさい) と、渡してくれたのだ。姿見の前で私はそのままで自分を映していて・・・「どう? セクシー? ? ?エロいのかしら・・・」 こんなの二度目なんだけど、確かに、刺激的な下着だった。着替え用にと、もう一つも渡されていて、それもピンクで同じようなもので私の手に収まるほど小さな布。お母さんは、(若い時に買ってそのままになってたものよー) と、言っていて新しいものだったけど、きっと あのエロ爺の為に用意したものに違いないと思っていた。さすがに寝る時まではと、私は何にも身に着けないでトレーナーパジャマを素肌に着ていたのだ。

 お風呂から出て来ると、若い女の人が、リビングに居て、ワイングラスを片手に飲んでいた。先生の妹さんの珠実さんと言った。

「お先にいただきました」と、私が言うと

「耀兄ちゃんの妹 珠実よ よろしく カウンターの奥で飲み物作ってたの 気がついた?」

「えっ あぁー とっても 美しい人・・・」

「まぁ 中学生なのに・・・そんな言葉・・・正直でいいんだけどー うふっ お兄ちゃん聞いた? なんだって!」

「ばか 返す言葉が見つかんなかっただけだよ」

 
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