金木犀の許嫁
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第五十五話 忍者は冷静にその十一
「忍者は駄目だから」
「冷静な判断が必要ね」
「忍ぶには忍耐とね」
それと共にというのだ。
「冷静さもね」
「必要なのね」
「だからね」
「佐京君も白華ちゃんも冷静なのね」
「幸雄さんもだと思うよ」
「はい、私もです」
幸雄は二人の話を聞いてまさにと答えた。
「常に冷静である様に務めています」
「忍術をやっておられるので」
「もっと言えば武道をしていますので」
「武道家には冷静さが必要ですか」
「絶対に、我を忘れてはです」
そうなってしまえばというのだ。
「その時点で、です」
「武道家失格ですか」
「まさに。剣道も柔道も」
「冷静さは必要ですね」
「平常心といいます、機嫌が悪い顧問の先生が生徒の動きが悪いと激しく殴るなぞは」
「絶対に駄目ですね」
「以ての外です」
幸雄は厳しい声で言い切った。
「そうした所業は」
「絶対にしてはいけないでことですね」
「剣道でなくともです」
「行ってはいけないことですね」
「そうです」
「人としてですね」
「それは外道の所業であり」
そうでありというのだ。
「絶対に許しレはいけません」
「そこまでのことですね」
「そうです、当家は代々槍術を行っていますが」
「幸村公以来ですね」
「はい、この槍術もです」
こちらもというのだ。
「やはり武道であり」
「冷静さは忘れないで」
「己を保ち」
常にというのだ。
「平常心であるべきです」
「だから機嫌が悪くてですね」
「生徒を虐待するなぞ」
そうした行為はというのだ。
「間違ってもです」
「平常心とは無縁ですね」
「はい、そもそも虐待なぞです」
「やったら駄目ですよね」
「誰に対しても。武道家もっと言えばスポーツをする資格もです」
「ないですね」
「絶対に、ですから」
それでとだ、幸雄はさらに話した。
「私もです」
「平常心を忘れないで」
「常に冷静である様にしています。そして忍者は」
「冷静であることですね」
「そうです」
まさにというのだ。
「平常心を忘れない、そして忍ぶことです」
「隠れて逃げる」
「そうするのです」
「それが忍者ですね」
「ですからものの見方も」
こちらもというのだ。
「冷静にです」
「あるべきですね」
「巨人についても」
このチームについてもというのだ。
「冷静にです」
「ものを見ることですね」
「どういった状況か、自分の都合のいい情報だけを見て」
そうしてというのだ。
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