夢幻水滸伝
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第三百八十二話 イザベルの戦その十
「他宗教と仲がええのはです」
「いいですか」
「ほんまに。ただそれでインカの信仰ですが」
そちらの話もするのだった。
「生贄がないですね」
「生贄は否定されています」
院長はきっぱりと答えた。
「この世界では」
「そうなんですね」
「あらゆる宗教で」
「そうですか」
「さもないとです」
院長はさらに話した。
「人が幾らいても足りないですね」
「インカとかアステカは生贄は重要な要素で」
「多くの生贄が必要ですね」
「起きた世界やと何かあれば」
イザベルは再び自分達の起きた世界でのことを話した。
「生贄で」
「人が幾らいても足りなかったですね」
「そうでした、それで生贄を手に入れる為に」
まさにその為にというのだ。
「戦をして」
「他の国とですか」
「征服したり捕虜を得て」
「生贄を手に入れていましたか」
「そうでした」
そうだったというのだ。
「それで多くの血が流れました」
「そうでしたか」
「ほんまです」
イザベルは話を続けた。
「神殿の階段が生贄の血で染まっている」
「そうした状況でしたか」
「アステカのお話ですが」
「この世界ではある方が全ての教えで否定されました」
「生贄をですか」
「他宗教を認めることと」
そのことと合わせてというのだ。
「生贄もです」
「そうなんですね」
「ですから」
その為にというのだ。
「インカもです」
「生贄は捧げへんですね」
「はい」
その通りだというのだ。
「絶対に」
「それはええことですね」
「神霊の方々も言っておられまして」
「この世界ではっきりと神託を下さいますね」
「それで仰っています」
そうだというのだ。
「生贄は不要だと」
「そうなのですね」
「ですから」
それでというのだ。
「平和にです」
「生贄を捧げることなく」
「信仰出来ています」
「ほんまええことですね」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「そこは安心して下さい」
「わかりました」
イザベルもそれではと応えた。
「そうさせて頂きます」
「それでは」
こう話してだった。
イザベルはそのことについて安心した、そうした話もしてからマリアと会った。そうして一緒に話して今に至ったのだ。
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