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ドリトル先生の長崎での出会い

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第九幕その八

「僕としてもね」
「何かあるかもね」
「その運命が」
「若しかしたら」
「そうも思うよ」
 こうしたお話をしました、そしてでした。
 先生は真剣に考えるお顔になって皆にです、こうしたことを言ったのでした。
「蝶々夫人は本当にね」
「いたのかな」
「中尉も」
「プッチーニさんの作品は創作じゃなくて」
「実際にあったのかな」
「そうしたお話だったのかな」
「そうかもね」
 こう言うのでした。
「これは」
「プッチーニさんも知らないうちに創作した」
「そうだったのかな」
「本当のお話だって」
「そうだったのかな」
「そんなこともあるからね」
 世の中はというのです。
「架空と思って創作しても」
「実は本当のことだった」
「実在人物を書いていた」
「そうしたことが」
「世の中広くてね」
 そうであってというのです。
「不思議なこともだよ」
「あるね」
「ままにして」
「実は本当のお話だった」
「そんなことが」
「だからね」
 それでというのです。
「蝶々さんはね」
「実在人物だったかも知れない」
「そうかも知れないんだ」
「若しかしたら」
「そうなんだね」
「そうも考えたよ、まさかと思うけれど」
 先生もです。
「ちょっと調べてみようかな」
「そうするんだ」
「蝶々夫人が本当のお話か」
「そうだって」
「そうしようかな、そして」
 それにと言う先生でした。
「若し本当のお話だったら」
「うん、もうね」
「反省も後悔もして欲しくないね」
「中尉の子孫の人達も」
「それに蝶々さんの親戚の人達も」
「そう思うよ、その人達がしたことでもなければ」 
 例えご先祖の人達が蝶々さんに酷いことをしたとしてもとです、先生は心から思って言うのでした。
「もう百年以上経っていることだよ」
「十九世紀のお話だよね」
「明治維新から少し経った頃?」
「蝶々夫人のお話って」
「そうだったよね」
「そう、そんな過去のことだから」
 だからだというのです。
「もうね」
「反省も後悔も必要ないね」
「二度と繰り返さないといいだけで」
「それだけでいいから」
「そうしたことはしなくていいね」
「うん、過去は過去であって」
 そうしてというのでした。 
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