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不遇水魔法使いの禁忌術式(暁バージョン)

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5話

「よし!これをくれてやる」

「食料とか旅道具とかありがとう!」

「ははは、あのモンスターからの護衛がその対価よ!」

砂漠で遭遇したモンスターからサーシャを守るために馬車へ放り込んだのが発端とはいえなんとか仲良くなった商人に砂漠の淵まで送ってもらったのを込みで考えると貰いすぎだって感じるが親切は受け取っておこう。実際あの蛇のせいで死ぬかと思おったし。

異世界のウマの頑丈さやら商人がなんでこんな所を通っていたのか聞きはしないが向こうも訳ありならこっちも訳ありと考えて何も仕掛けてこないだろう。

まあ色々あったがそんなこんなで砂漠からの脱出は叶いたびは人里を巡るようになったのであった。
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「おい!あいつらが居たぞぉ!追え!」
「ギルドに所属しない水魔法使いはぶっ殺せー!」
 
 辿り着いてそう時間の経っていない街で追跡者から逃れるために万が一に他人を巻き込まないよう路地裏へと駆け込む。

「……サーシャはなんか心当たりある?」
「ない」
「…だよね〜」

 あまりの剣幕で追いかけてくる力こそ全てと信じてそうな野蛮人どもの様子を見て一応尋ねてみるが首を横に振っている。一応聞いてはみたがないようだ。それもそうだろう何年か、下手すれば何百年も砂漠に封印されていたのだから。サーシャもちょっと引いてる。ギルド…連合もしや魔法使いはそういうのに所属するのが普通なのかもしれないが…

「…水魔法使いってバレるだけでこんなに追われるってのはちょっと異常だよな」
「そうね、水魔法使いは水の安定した供給に必要なのに戦闘力は低いからトラブルの原因になることはあったけど…」

 足を止めずに顔を見合わせる。どうやらサーシャにも心当たりはそうないらしい。

「おかしいよな、今まで寄った村やらではここまでではなかったし」
「ええ、流石に…」

路地裏の人気のない場所を目指して駆けていたが突然話しかけられる。

「へい!そこのお二人さん!こっちへ逃げなァ!」

「悪いがそういう気配には敏感なんだ!騙されない!」

そう言って袋小路へ誘い込もうとしていたのかもしれない相手の言葉を無視して進む。まだ完成してはいないが術式が組み立てられていく気配を言われたまま進んだ場合の先に感じ取る。

(これは火属性かな?)

相手らが仕掛ける術を大雑把な勘で想定し、手元で単純な構成で風の魔法を矢のようにして曲がっていくように放つ。

ボンッ!とクラッカーでも弾けたような音と野蛮人どもが驚き慌てる声が響く。術式の妨害には成功したらしい。

「ちぃ!見破られたかぁ!」

「サーシャ!跳ぶぞ!」
「ええ…わかったわ」

流石になれてきたとでも言いそうな少女を抱えて壁を走り屋根の上へと登り駆けていく。さてどうしてこうなったのだろうかと思い返していこう。 
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